オール埼玉で進める価格転嫁の取り組み(埼玉)

現在、アメリカによるイランへの攻撃を背景に中東情勢の緊張が高まり、原油供給への懸念も強まっています。加えて、原材料費や人件費が上がり続けている一方で、その上昇分を価格に反映できず、「頑張っても利益が出ない」という厳しい状況にあります。この構造を変えなければ、賃上げもできず、人も集まらず、地域経済そのものが縮小してしまいます。

今回、ご紹介する以下のツールは、「埼玉県の強い経済構築のための戦略会議」において、経済6団体の一員として、埼玉同友会の意見が反映された結果、生まれたものです。詳しくはいずれも埼玉県ホームページをご覧ください。

ポイントは3つです。1つ目は、「価格交渉支援ツール」。これは、原価の上昇を見える化し、適正な価格の根拠をデータとして示すことで、これまで感覚に頼っていた価格交渉を、誰でも“根拠を持って”行えるようにするものです。

2つ目は、「収支計画シミュレーター」です。価格転嫁をしなかった場合に将来どうなるのか、また実施した場合にどのように経営が改善するのか、具体的な数字で見える化をします。これにより、「なぜ価格転嫁が必要なのか」を自ら理解し、判断できるようになります。

3つ目は、「地域経済の連携」。埼玉県、経済6団体、関東財務局・関東経済産業局・埼玉労働局、金融機関、労働組合、教育機関などが一体となって同時に取り組むことで、1社だけでは難しかった価格交渉も、「地域全体の流れ」として進めています。

この3つを組み合わせることで、埼玉において「適正価格が当たり前」の経済を実現していきます。

そしてこの取り組みは、単なる価格転嫁ではなく、私たち中小企業がしっかり利益を確保し、賃上げができ、人材が集まり、地域全体が持続的に成長する――まさに「人を生かす経済」への転換になればと考え、発信しています。

「中小企業家しんぶん」 2026年 4月 25日号より