逆境を力に変える経営と地域の再生を学ぶ 相双地域の復興と挑戦から能登・石川の未来を描く

 石川同友会の環境経営・地域政策委員会、能登支部の有志7名は、9月14~15日と福島同友会相双支部の協力を得て、福島県相双地域を視察しました。

 能登半島地震から2年半。

震災から15年が経過した相双地域に、10年後の能登・石川の姿を重ね、地域と共に歩む企業経営について経営者から報告を受けました。

 強く印象に残ったのが、震災直後、仲間に「福島でがんばっぺ!」と声をかけた青年経営者の話です。会社や暮らしの先行きが見えない中、声をかけた側も被災者であり、それでも仲間の決断を支え、自らも地域で生きていく覚悟を示していました。

 原発事故で地元漁業が壊滅する中、地域の産業と雇用を守るため事業を拡大した企業家、避難区域となり人口ゼロの町に1人戻り、仕事をつくり、地域の再生に挑んだ企業家、被災企業が地域に残れるよう支援を取りまとめ、国に届けた人たちがいました。そうした企業家たちの背中に感銘を受け、新事業を始めた若者もいます。「次の若者が地元のために行動を始めて、初めて復興と言える」という、復興を次世代へつなぐ強い意志を感じました。

 また、震災直後は「1社もつぶさない」を実現した一方で、人口流出や産業構造の変化とともに事業の継続が難しくなった会社もあります。「ただ元に戻しただけではつぶれる」という言葉の通り、生き残るには迅速な行動、時代を見据えた事業展開、繰り返す災害に抗うしなやかさが必要だと学びました。

 小高区で見た建物にもその考え方が表れており、災害に耐える構造を確保しながら、内装や建具は簡素にして、修繕やレイアウト変更、拡張・縮小にも対応できる造りです。守るべきものは守り、変えるべきものは変える。その柔軟さは、企業経営にも通じます。

 われわれは、相双地域で出会った人々から、「経営者の覚悟」というバトンを受け取りました。その覚悟を、これからの地域づくりと経営につないでいきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2026年 10月 25日号より