世界に平和と独立、連帯の精神を再び~ バンドン会議50周年記念首脳会議に寄せて

 今年は戦後60年の節目の年ですが、バンドン会議50周年でもあります。

 1955年4月、インドのネルー首相、中国の周恩来首相、エジプトのナセル大統領らがインドネシアのバンドンで第1回アジア・アフリカ会議を開催し、平和5原則をふまえ、バンドン10原則を宣言しました。

 内容は、基本的人権と国連憲章の趣旨と原則の尊重、全ての人類の平等と大小全ての国の平等の承認、内政不干渉、国際紛争の平和的手段による解決、相互の利益と協力の促進など現在の国際政治にも求められている平和と独立、連帯の精神を高らかに謳っています。

 今年4月21日から、50周年首脳会議が同じバンドンで開かれ、100カ国以上の首脳が集まる予定です。

 実は、50年前のバンドン会議にも日本は正式参加しています。時の鳩山内閣にはアメリカの意向を斟酌して参加に強い慎重論がありましたが、「アメリカ一辺倒ではいけない。日本はアジアに立つべきだ」として参加した経緯があります。この機会に、日本政府そして私たち国民も、バンドン会議の今日的意義をもう1度真剣に考える必要があるでしょう。

 今、国際政治での発言力とともに、経済においても新興大国が実力をつけてきています。ブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字から取ったBRICs(ブリックス)諸国が21世紀経済の中心になると言われています。2004年のBRICs経済の平均成長率は7・7%と過去最高の伸びに達し、今後も7%程度の平均成長率が維持されると見られます。

 BRICsの台頭は日本にも無視できない影響を与えます。特に、BRICsの景気拡大による輸出拡大は日本経済に大きな恩恵をもたらしています。日本からBRICsに向けた輸出金額の推移では2000年頃から急増し、04年も前年比21・6%増と5年連続で2ケタの伸び。輸出シェアは2000年の7・5%から04年の14・6%へと2倍に上昇しました。

 第一生命経済研究所の推計では、04年の日本の実質GDPはBRICsによって0・61%押し上げられた計算になり、日本の実質成長率の4分の1はBRICsとの貿易で稼ぎ出されたものになっています。

 BRICs諸国は、世界人口の約45%を占め、広大な国土と豊富な鉱産資源にめぐまれており、その潜在力は21世紀の世界の動向を左右し、地球環境保全の命運を握っています。日本の中小企業も今後、これら諸国とのかかわりを深めていかざるを得ないでしょう。

 中小企業憲章運動の深化と広がりの中で、平和と独立、連帯の精神の横溢する持続可能な世界の創造に、日本の中小企業としても事業などを通じてかかわっていこうではありませんか。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2005年 4月 15日号より