中小企業の販路確保へ助っ人あり!~自治体での「新事業分野開拓事業者認定制度」の導入を促そう

 中同協は、今年も『2007年度国の政策に対する中小企業家の要望・提言』をまとめ、要請行動を行いました( >> 参照記事はこちら)。各党の国会議員とさまざまなテーマで懇談しましたが、話題の1つとなったのが、「新事業分野開拓事業者認定制度」を自治体に普及してほしいという要望項目です。

 「新事業分野開拓事業者認定制度を導入する地方自治体を積極的に支援し、新商品の販路開拓で困難をかかえる地域の中小企業を新商品購入で援助する自治体を大幅に増やすこと」という要望が関心を引きました。

 中小企業は、相当のコストと時間をかけて新商品を開発しても、販路を確保する難しさに直面するのが常です。そこで、行政が販路開拓を後押しして、可能であるならば優先的に買い上げることにより、中小企業の新製品開発に弾みをつけることにつながるという考え方の要望です。

 わが国においては、これまでは地方自治法により自治体の調達は競争入札が原則とされ、中小企業はどうしても価格競争面で不利という状況が続いてきました。

 こうした状況を改善するため、2004年11月に地方自治法施行令が改正され、「新商品の生産により新たな事業分野の開拓を図る者」として自治体の認定を受けた企業が「新商品として生産する物品」については、地方自治体は競争入札によらず、随意契約によって購入することが可能になりました(地方自治法施行令第167条の2第1項第4号)。この地方自治法施行令の改正により、自治体の認定を受けた企業の新商品については、競争入札によらず随意契約によって購入することが可能となりました。

 現在、岡山県、 大分県、 山口県、 香川県、 岐阜県、 富山県、 新潟県、 鳥取県、 山口県宇部市などの自治体が、この制度を活用した中小企業からの調達への取り組みを行っています。たとえば、新潟県の「メイドイン新潟、新商品調達制度」や大分県の「トライアル発注制度」などの名称で取り組みが始まっています。

 これらの自治体では年度ごとに事業者の認定を実施しており、ホームページで公表しているところもあり、ユニークな製品が認定されています。ただし、この制度を利用して随意契約の対象となるためには、前提条件として自治体の認定が必要ですが、認定が自治体による購入を保証するものではありません。

 経営品質賞は全国的に普及されつつあるようですが、加えてこの新商品開拓企業の認定・調達制度についても普及が期待されます。

 すでにこの制度を導入している自治体の会員企業は、大いに挑戦しようではありませんか。まだ導入していない自治体の会員企業は、この制度の導入を働きかけていきましょう。

(U)

「中小企業家しんぶん」 2006年 6月 15日号より