試作・開発中心に治具に特化 (有)西川治具工業 社長 西川 昭氏(岐阜)

試作・開発中心に治具に特化
基本姿勢は「汎用性のあるものはつくらない、量産はしない」
(有)西川治具工業 社長 西川 昭氏(岐阜)

 今回の「元気印の企業訪問」は、「ぎふ同友」11月号「突激インタビュー」より、(有)西川治具工業(西川昭社長、岐阜同友会会員)を紹介します。

試作・開発が中心

 わが社は治具に特化しています。試作、開発を中心にやっているのですが、たとえば中国や韓国には出せないものに取り組んでいます。汎用性のあるものはつくらない。量産はしない。これが私どもの基本姿勢です。

 メインは自動車関連。今のところ、自動車産業は調子がいいのですが、数年後には頭打ちになるのではないか。そんな思いもあって、繊維関係やゴム関係など、業界を広げつつあります。

 私は、工作機械メーカーに勤めてから、この会社に入りました。ちょうど新しい機械の企画に取りかかったところで、正直、まだ辞めたくなかった。もちろん、いつかは継ぐという思いはありましたが。社長になったのは2年前です。

 勤めていた時には、設計、組立、検査など、いろいろ経験させていただき、楽しかったですね。またそれが、今、とても役に立っていると思っています。

お客様のプラスになる提案を誠実に

 うちの場合、お客様のところから図面がきて、それをつくる場合と、お客さんのニーズを聞いてこちらから提案してつくる場合と半々です。

 CAD/CAMが発達し、現場を知らなくても図面が書けるようになったために、ともすると、お客様のところから必要以上の精度の寸法公差を要求してくる場合があるんです。

 精度が高くなれば高くなるほど、コストはかかる。お客様の出してきた図面通りつくれば、私どもの収入は多くなるでしょうが、要求された精度が必要なのか必要でないのか、きちんと見極めて、お客様のコストダウンにつながるような提案をしていくことが大切だと思うんですね。

 現在、直接仕事をいただいているのは、東は浜松、西は彦根あたりまでです。お客様のところには足を運んで話を聞き、お客様のプラスになる提案をしていくという誠実な対応をしていくためにも、今のところ、遠隔地の仕事を請けることはしていません。遠くなればなるほど、きちんとした仕事ができなくなると思うからです。

社員とのコミュニケーションを重視

 現在、12名の社員がいますが、教育というよりむしろ、社員とコミュニケーションを十分にとりたいと思っています。そのために、朝礼をする、掲示板を活用するといったこともするようになりましたが、まずは何よりも、私自身ができるだけオープンでいることだと思うんです。

 私は社員をよく見て、適度なタイミングで声をかける。社員も私に、何でも話してほしいし、何でも聞いてほしい。言いにくければ、紙に書いてくれてもいい。

 前に事情があってうちを辞めた人が、次の会社で「西川さんのところにいたなら採用する」と言われたんだそうです。うれしかったですね。

次のやる気につなげていく

 苦労して納得のいく製品ができた、そしてぎりぎりの線で見積もりを出したのに、もっと安い見積もりを出した会社に仕事を持っていかれてしまうということがあります。でも、他社がその金額でやれるということは、うちの考えたものとは違うやり方があるということ、つまりうちの技術が足らないということなんです。

 また、開発段階で、なかなかうまくいかないこともあります。こういう時、おもしろくないですが、次のやる気にはつながる。私たちのような仕事も、天狗になったらおしまいだと思っています。

【会社概要】
創業 1971年
資本金 600万円
年商 1億4000万円
社員数 12名
業種 精密自動車関係試作品、精密電気関係試作品、単金型、精密検査治具、加工治具、板、栓ケージ、専用機設計製作
所在地 岐阜県揖斐郡池田町白鳥
TEL 0585-45-7582

「中小企業家しんぶん」 2007年 1月 25日号より