日本の美術を世界中に届けたい (株)麗人社 社長 野口 和男氏(大阪)

日本の美術を世界中に届けたい
社会と美術界の架け橋となり、世界の文化発展に貢献する
(株)麗人社 社長 野口 和男氏(大阪)

日本の美術作品を 世界に紹介

 (株)麗人社(野口和男社長、大阪同友会会員)は、美術展の企画・開催と美術誌の出版を中心に、本社のほかフランス、スペインにも支局を開設。計20名の社員で国際的に展開しています。

 野口氏は美術出版会社の営業社員だったころより、「大きな図版で作品を掲載してほしい」「海外で作品を発表したい」など、作家(絵描き)の要望を聞いてきました。しかし、サラリーマンの立場ではニーズにこたえることは無理でした。時代もバブル崩壊期を迎え、社内の危機感も感じ、1993年に独立、(株)麗人社を立ち上げました。

 主な事業として、海外で美術展を企画し、日本の作家の作品を紹介してきました。美術の本場、スペインやフランス、モナコはもとより、中国・杭州、エジプトなど、世界各国で開催しています。出展者は日本国内の作家3万人のネットワークを生かし、美術展の内容によって作品をセレクトして集めます。この際の出展料が同社の売上の源泉となります。

 この美術展は販売が目的ではありませんが、海外での評価を得たい多くの作家に歓迎されています。

美術雑誌「美術屋・百兵衛」創刊

 同社のもう1つの事業は、美術誌の出版事業です。「アートメゾン・インターナショナル」は96年に創刊され、年1回発行。現代日本美術を紹介する国際書籍として好評を得ています。B4版で発行され、大きな図版で作品を紹介。すべての文章は和文・英文の両方で掲載され、国内の書店だけでなく海外の美術展会場でも販売されています。

 2007年4月に、新たに季刊の美術雑誌『美術屋・百兵衛』を創刊しました。作品の紹介にとどまらず、都道府県別に日本の地方文化にスポットを当て、掘り下げる企画が特徴です。創刊号では長崎県、夏号(7月9日発行)では石川県を取り上げます。各都市の美術展開催情報も収録。定価840円で全国の書店で発売中です。

 同社にとって、美術作品の紹介以外の企画記事は初めてのチャレンジであり、美術雑誌の中でもユニークなものとなっています。経営理念に「自己の能力を最大限に発揮し、自己実現の場とする」を掲げる同社では、社員の成長につながる役割も構想しています。

大阪で春の芸術祭「OASIS」開催

 今年5月25~27日の3日間、大阪のOBPツイン21ギャラリーで開催される春の芸術祭「OASIS2007」の運営を同社が担当します。例年5月に日本と海外の芸術家の自信作を集めて行われるもので、今年で12回目。フランス・パリの著名な美術展「ル・サロン」会長のクリスチャン・ビエ氏が名誉顧問として来日し、海外美術界からも注目されています。

 文化庁、大阪府、大阪市、大阪ユネスコ協会などが後援、昨年は約2万人もの来場者がありました。入場は無料、お近くの皆様は足を運んで現代美術に親しんでみてはいかがでしょうか。

【会社概要】
創業
 1993年
社員数 20名
資本金 1000万円
年商 2億円
業種 美術展等の催事に関する企画立案及び運営、書籍等の発行及び販売、各種印刷物の制作、広告代理業、絵画制作の受託・販売及び輸出入
所在地 大阪市北区茶屋町
TEL 06-6359-8845
URL http://www.reijinsha.com/

「中小企業家しんぶん」 2007年 4月 25日号より