六甲山に小型風力発電「風の妖精」 「ワット神戸」(兵庫)がオリジナルブランド第1号

新エネルギー関連ビジネスの創出めざし
六甲山に小型風力発電「風の妖精」
「ワット神戸」(兵庫)がオリジナルブランド第1号

「ワット神戸」ブランド第1号が六甲山に

 太陽光発電の普及をはじめ、新エネルギーの事業化と省エネルギーの推進をめざす同友会会員を中心とした中小企業経営者と技術者によるNPO法人「ワット神戸」(岡野重和理事長、兵庫同友会会員)が、ハイブリッド型マイクロ風力発電機のオリジナルブランドである「風の妖精~サンシルフィー・ワット」を開発、1号機を六甲山(神戸市)に設置しました。60ワットの太陽光パネルと300ワット(定格風速12メートル)の風力発電機で、20ワット白色LED照明灯の独立電源として使用されます。

 「ワット神戸」は地球温暖化の防止を目的とした「兵庫地域における新エネルギー関連ビジネスの創出支援事業」に取り組んでおり、この事業は、2005年度から近畿経済産業局の広域連携拠点重点強化事業(産業クラスター計画・ネオクラスターの拠点組織)の採択を受けています。今回開発された「風の妖精」も、その活動の中から誕生したものです。

国際デザイン交流協会とも連携

 「風の妖精」は、「マイクロ風力発電機は、発電量からして普及啓発のモニュメント性を重視し、景観にマッチしたデザインが必要」という議論から、同じくネオクラスター拠点組織である国際デザイン交流協会(ストームコンソーシアム)と連携し、新しいデザインのもとに開発されました。

 自然の樹木をイメージしたデザインと、これまでの設置経験を生かした機能性は、展示会などでも大きな関心を集め、「どこに行ったら見ることができますか」という質問も多く、完成が待たれていました。

 第1号機が設置されているのは、六甲山にある兵庫県自然保護センターで、多くの観光客が休息に訪れる場所。国立公園である六甲山を管理する環境省の規則で、配色は当初の緑色から茶色になりましたが、多くのハイカーがお弁当を食べながら、風に吹かれてクルクルと勢いよく回る風車を珍しそうに眺めています。センターの職員も「よく質問を受けますし、住民の方も近くの階段だけでなく、少し離れたところも明るくなって喜んでいます」と話していました。

新エネルギー関連ビジネスの創出めざす

 「ワット神戸」の「兵庫地域における新エネルギー関連ビジネスの創出支援事業」は、中小企業を中心とした産学官のネットワークによる新事業展開やイノベーションの創出を促進・支援することで、地域経済の活性化を目指すもの。現在、(1)太陽光発電、(2)色素増感型太陽電池、(3)小型風力発電(「風の妖精」を開発)、(4)都市型バイオマス発電(2007年度は新エネルギーを活用した雨水利用)の4プロジェクトに約90社が参加しています。

 「ワット神戸」では、自然エネルギーの普及と新事業の創出を目指して、2号機、3号機の設置を進めていくことにしています。

NPO法人ワット神戸
TEL
 078-335-0908
URL http://www.watt-kobe.jp/

 
*風の妖精~サンシルフィー・ワット
 小型風力発電機サンシルフィー・ワットは、そよ風と感じる程度の風速1mでプロペラが回転を始める、世界で最も発電開始風速が低い弱風速計の風車。ここに単結晶シリコン太陽光発電池パネルを組み合わせ、バッテリーに充電した電力で、夜間、周囲を高輝度LED照明で照らす。強風時には、回転翼が上方に傾いて、風の力を避けることで安全性を確保。

「中小企業家しんぶん」 2007年 5月 25日号より