段ボール製容器の開発で世界も視野に ジャパンパック(株) 社長 長田 宏泰氏(富山)

段ボール製容器の開発で世界も視野に
200リットル入りドラム缶にも挑戦中
ジャパンパック(株) 社長 長田 宏泰氏(富山)

新しいものへのチャレンジを求めて

 ジャパンパック(株)の長田宏泰社長(富山同友会会員)は、段ボールの業界に入って40年。その間ほとんど価格は変わらず、「卵と同じ」と言います。100年の歴史がある段ボールは、現在、90%以上が包装資材として使われていますが、もともとはアメリカでテンガロンハットの汗取り用として開発されました。価格が変わらないため、量をこなすことでコストを吸収しなければやっていけません。10億円の設備投資をしないと競争にならないといいますが、それも仕事の量があってのこと。

 前の会社に勤めていた時から、新しいものにチャレンジしたい気持ちが強かった長田氏は、量産体制でいくという会社の方針と折り合わず、8年前独立しました。

段ボールの1斗缶

 創業後、初めての製品が「Nパック」でした。1斗缶などにかわる段ボール製の液体用の容器で、使用後廃棄処理が容易にできます。接着剤メーカーから、「使用済みの缶の後処理が大変だ」という話を聞いていたことから開発しました。外側は段ボール、内側は内容物によってフィルム、防水加工した紙、アルミ箔などを張り、キャップはプラスチックという構造です。

 はじめの2、3年はなかなか売れませんでしたが、口コミで広がり、ある程度広がってからは勢いがつき、今はドル箱となっています。

 金属製の缶と違い、(1)すぐぺしゃんこにできる、(2)保管スペースが少なくて済む、(3)軽い、(4)印刷が簡単などの利点があります。また、中のフィルムをはがせば、段ボールはリサイクルできます。ただし、屋外に積んで雨ざらしにはできません。そこで現在、屋外でも使用できる段ボール製容器も開発中です。

既成概念を外せば可能性は広がる

 昨年は、「Nフラワー」を世に出しました。水がこぼれない切り花の輸送用段ボールケースです。花の生産者の悩み、「市場へ出すまでの時間の違いで鮮度の差が出てしまう」にこたえたものです。容器が倒れても水がこぼれない構造で鮮度が保たれます。このNフラワーを応用した、花瓶としても使える「Nフラワーべース」は、「2007日本パッケージングコンテスト」でジャパンスター賞を受賞しました。

 そのほか、発泡スチロールに代わる断熱容器「Nクール」、魚の運搬用の箱「Nフィッシュ」を開発。200リットル入る段ボールの“ドラム缶”なども実用化に向け研究中です。

 「お客様の困りごとを商品にするのが基本です。段ボールは後の処理が楽なことが最大の利点。包装材料という概念を外せば、いくらでも用途開発が可能なのが段ボール。定期的にマスコミが取り上げてくれるので、全国から“こういうことはできないか”という相談がよくきます」と語る長田氏の開発意欲は旺盛です。

【会社概要】
設立
 1999年
資本金 1000万円
社員数 12名
年商 2億8000万円
業種 機能性段ボール容器の製造・販売
所在地 富山県滑川市北野188
TEL 076-476-1750
URL http://www.japan-pack.com/

「中小企業家しんぶん」 2007年 8月 25日号より