真価問われる今最も信頼できる団体に 松山支部(愛媛) 松山支部長 大野 栄一氏((株)大栄電機工業 社長)

―愛媛県の県庁所在地である松山市の特徴をお聞かせ下さい。

大野 松山には東レ、帝人などの大手もありますが、事業所の99・6%は30人以下の事業所で中小企業の町です。中央の景気回復の声も松山では実感が湧きません。観光では道後温泉も苦戦しており、2年後のNHK大河ドラマ「坂の上の雲」にちなみ、坂の上の町づくりに期待がかかっています。ただし、昔から商人の町として小売、飲食、サービス業が発達しており、天災も無く住みやすいところとの評判は得ています。

―大野さん自身は、同友会でどんな企業づくりを進めてきましたか。

大野 私は1983年に大手企業を退職後、28歳の時2代目として父の会社に入社しました。創業26年を迎えていましたが、あいさつもできない社員、時間もルーズ、クレームも多い、大手企業との落差にがく然としたものです。当時は、カーラジオの販売、修理がメインで、社員は9名、年商7200万円でした。

 現在は、情報・通信システムの提案を柱にITコーディネーター企業として、社員は34名、年商も6億8000万円になっています。

 同友会への入会は87年で、「労使見解」の精神をどうわが社に生かし、人材育成を進めるのか、ここに真剣に取り組んだのが漢方薬のように効いてきたのだと思います。ようやく社会から当てにされる会社になってきたと確信しています。

―3代目の支部長とのことですが、支部活動の力点をどこにおいていますか。

大野 まず幹事会の運営を大切にしています。21名の幹事が積極的に勉強しようと幹事会ではお互いが経営報告を行い、必ず経営の勉強をします。支部例会の企画は年間計画をたて、結果の総括はP―D―C―A(プラン・ドゥ・チェック・アクション)の要領で行っています。また、支部幹事は県の委員会の主要ポストも担っているので全県的視点を持って取り組むよう心がけています。

 昨年から松山市へ「中小企業政策に関する要望と提言」を提出し、産業振興、人材育成策等を提言しています。この点でも会の存在感が増してきています。

―今後の松山支部の抱負をどうぞ。

大野 愛媛同友会としては、インターンシップ、三位一体(労使見解・経営指針・社員共育)の経営、同友会大学等を定着させてきました。その中心が松山支部です。今も注目はされていますが地域社会から「最も信頼できる団体」となるためには、会勢を増やすことです。県全体として500名、その内、松山は400名、将来は1000名同友会を展望したい。今こそ同友会の頑張り時、真価が問われていると思います。

▼松山支部の概要
設立 1995年
会員数 220名
役員数 21名
対象地域 3市4町(人口60万人、企業数8000社)

「中小企業家しんぶん」 2004年 2月 15日号より