―地域の特徴を。
前川 京都同友会南部支部は府内で2番目に人口が多く、お茶で有名な宇治市や城陽市など4市9町1村、京都市以南の大阪、奈良、三重、滋賀に接する地域です。
第二京阪国道、名神高速道路につながる京滋バイパスなどもあり、地の利がよく、京都の「生産工場」とも言われるように、倉庫や工場が集中しています。1999年に日産車体京都工場の閉鎖が発表され、2つの信金が破たんするなど混乱しましたが、工場跡地は造成を終え、先端産業の工場建設が進められています。
また、宇治市などではベッドタウン化が進み、人口は増加していますが、郊外型大型店の出店で中心商店街に空きができると、建売住宅が建つという状況です。また精華町を中心に支部南部では関西学術研究都市として発展が期待されています。
―入会のきっかけは。
前川 婚礼貸衣裳関連の会社に入社後、ウエディングドレスメーカーに出向しましたが、その販売価格に比べ、レンタル価格が異常に高く、驚きました。入社後間もなく障害者の新郎新婦の衣裳合わせに立ち合い、親御さんが目にいっぱい涙をためておられる姿に感動し、この仕事が自分にとって天命であると考えました。お客様の方を向いた仕事がしたいと思い、1991年11月に独立しました。
独立後、経営者としての勉強をしなければならないと思っていたところ、翌年1月に、京都同友会会員の方に誘われ、新春講演会で元気のいい会員経営者の講演を聞き、即入会しました。
―同友会で学ばれたことは。
前川 同友会の例会にはできるだけ参加するようにし、先輩会員の方々から、経営や人としての生き方を学ばせていただきました。ノウハウでなく「生きざま」です。
中でも印象に残っているのは、「2000年に会員数2000名の京都同友会にしよう」と、当時支部の組織委員になって、府全体の組織委員会に参加し、「なぜ会員増強するのか」と真剣に議論しあったこと。そして、愛知同友会代表理事の鋤柄さん(中同協幹事長)の講演で「お得意先、仕入先、従業員がまったく変わらずに発展する企業はありえない。人で構成されている組織である以上、退会はあたりまえ。常にプラスしていくことが組織の発展につながる」という言葉に、常に挑戦する自らの生き方に確信をえたことなど、会活動を通じて経営の何たるかを学びました。
ウエディングドレスのレンタルと同時に、現在は写真館としての仕事も行っており、753など家族の記念写真を「きちっとしたプリクラ」の感覚で、安価に提供し、家族の絆(きずな)を残していけるよう提案しています。また、当社のテリトリーは車で20~30分の地域。私自身が家族の笑顔を撮れる範囲と考えています。
―支部活動の特徴を。
前川 2003年から「経営指針成文化シリーズ例会」を開き、成文化し実践している仲間の体験に学び、中同協の『経営指針作成の手引き』を参考にしながら、運動を広げています。4つの地区会では、会員の経営体験に学ぶ例会を中心に活動しています。
混声合唱同好会「ロスナンブデス」や異業種交流会「らくゆう会」もあり、さまざまな切り口で会員が同友会とつながりを持てるようになってきました。
私が作っている例会案内を兼ねたFAXニュースも意外に好評で、毎月続いています。
―最後に支部長としての抱負を。
前川 支部では若手経営者や後継者に対して積極的に入会を勧めており、支部会員の半数が参加しているメーリングリストでは、参加者の3割以上が発言するなど、ネット上での交流も活発です。
来年度は4地区会が4支部になり、南部支部は発展的に解消します。もっと細やかに活動し、行政ともタイアップした支部活動が展開できそうです。
▼南部支部の概要
設立 2001年
会員数 161名
役員数 34名
対象地域 府南部4市9町1村(人口55万人、企業数1万9897社)
「中小企業家しんぶん」 2005年 1月 15日号より