産・学・官・金の連携で仕事づくり 札幌支部(北海道) 札幌支部長 土屋 洋二氏(清水勧業(株)社長)

―地域の特徴を。

土屋 札幌は、第3次産業の比重がとても高く、企業数では70%を超え、流通業は本州大手資本に押され気味です。第2次産業は製造業が少ないものの、食品、印刷などが高い比率を占めます。建設業は公共事業の激減で厳しい状況にあり、全体として産業構造から来る避けがたい景況の悪さが続いています。しかしフロンティアのDNAでしょうか、新しいものなら何でもやってみようという気概があります。

―同友会入会のきっかけは。

土屋 父が1974年から入会していましたが、私はどんな会かは知りませんでした。81年に東京の会社を退職して入社した直後、北海道新聞に掲載されていた同友会大学1期生のインタビュー記事を見つけました。外国や東京生活が続き、札幌の経済のことを全く知らなかったので、ぜひ勉強したいと、第2期生として受講しました。とても新鮮でした。同友会大学の同窓会では他社の幹部と随分交流しましたね。同友会大学も50期を終え、2000名の卒業生を輩出しています。

―その後同友会で学ばれたことは。

土屋 85年に父が亡くなり、社長に就任しました。以前から自分の生き方と利益追求型の経営は一致しなかったんですが、同友会で「会社は儲けることではなく、継続することだ」という話を聞き、気持ちがすっきりしました。自分の人生観が会社に反映するようになり心地よかったですね。

 これまで13人の社員が同友会大学を卒業しました。そこで何を学んだかということも大事ですが、当社にとっては、学ぶ雰囲気づくり、一人ひとりが学んで力をつけていく社風づくりに役立っていることが大きいです。

―支部活動についてお聞かせください。

土屋 札幌支部は、人口の40%、会員数で38%を占める大きな組織のため、地域別の12の地区会と、業種などの属性や要求別に集まる部会、研究会でマトリックス的に学びあっています。日常の活動は地区会単位で行われており、大きな地区はさらにブロックに分かれています。今年度は退会者を減らそうと、幹事による会員訪問や地区会ニュースの手配りが盛んに行われるようになりました。

 この間の大きな特徴の1つは、支部内で新しい仕事づくりのための連携がたくさん始まり、同時に、産・学・官・金の連携も強くなっていることです。札幌信用金庫がリレバンのアクションプログラムに、HoPE(北海道同友会産学連携研究会)との連携をうたっていることなどもその現れです。また、10月に札幌市の経済局長との懇談会を持ち、中小企業振興条例の見直しを含め、地域政策についての協議を行っていくことなどを話し合いました。

―今後の抱負は。

土屋 北海道と札幌を元気づけたいですね。来年は支部設立20周年ですので大々的にイベントを打って、外に向かって思い切り発信できればと考えています。

▼札幌支部の概要
設立 1986年
会員数 1856名
役員数 81名
対象地域 札幌市、石狩市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、長沼町、当別町、新篠津村(人口225万人、企業数2万8000社)

「中小企業家しんぶん」 2005年 12月 15日号より