石油漏洩による汚染から土壌を守れ 玉田工業(株) 社長 玉田 善明氏(石川)

石油漏洩による汚染から土壌を守れ
老朽化した地下燃料タンクの再生・延命も
玉田工業(株) 社長 玉田 善明氏(石川)

 10月18~19日、「第4回中小企業地球環境問題交流会」(中同協主催)が、北九州国際会議場で開かれます。今回は、九州地域最大の環境ビジネス展「エコ・テクノ2007」とあわせて開かれます。この展示会には同友会コーナーも設営され、50社・80ブースが出展予定です。出展企業の1社である玉田工業(株)(石川)を紹介します。

画期的な二重殻石油地下タンク

 玉田工業(株)(玉田善明社長、石川同友会代表理事)は、ガソリンスタンドの建設とそれに付帯する工事、石油地下タンクや防火水槽の製造販売、地下収納庫の製造等、地下にかかわることを得意とする企業です。特に環境に優しい、漏洩(ろうえい)検知機能の付いたSF二重殻タンクでは、60%以上の全国販売シェアを持っています。

 SF二重殻タンクは、1993年に漏洩検知機能を付加することで、従来の10キロリットル容量から3倍の30キロリットルへと大容量タンクの埋設が可能になった消防法改正により、許可されたものです。

 従来の地下タンク表面防錆処理は、アスファルトもしくはエポキシ樹脂をコーティングする方法でしたが、より防錆能力のあるFRP(強化プラスチック)を被覆することで、完璧(かんぺき)な防錆処理が可能となりました。同社はいち早く、FRP被覆を完璧に処理する工法を開発し、品質、コスト面で顧客の信頼を勝ち得たのが、今日の圧倒的シェアの獲得へとつながりました。

 40万基以上に上る既存地下タンクの漏洩が大きな社会問題化している昨今、同社のSF二重殻タンクに高まる期待はより一層大きくなってきています。

FRPライニング工法でエコ大賞

 昨年は、「FRPライニング工法」で、地元の金沢商工会議所より「第5回かなざわエコ大賞」を授賞しました。この賞は、環境負荷の少ない持続可能な経済社会への転換に積極的に取り組む企業を顕彰することで、地元企業の積極的な環境活動への参加促進を目的としたものです。

 エコ大賞を受賞した「FRPライニング工法」とは、老朽化した既存の地下燃料タンクを再生・延命する独自技術で、地下タンク内部を完全にクリーニング後、FRPでライニング成形します。既存地下タンクを入替することなく作業が行えるので、施工コストが少ないというメリットもあります。土壌汚染防止に貢献しており、工法の一部は「石川県発明協会賞」も受賞しています。

危険物タンクから防火水槽へと進化

 同社のスチール鋼板とFRPとの多重積層による複合素材技術は、危険物地下タンクから防火水槽や耐震性貯水槽(アクアエンジェル)へと進化しています。また、天然ガスなど化石燃料以外の危険物の貯蔵での利用も開発中で、温暖化による水不足の解決策として、雨水利用のための貯水に関心を示しています。

 資源リサイクルでは、同社製品の鋼材は、セメント製造の補助燃料にリサイクル使用されています。製品の引き取りも、メーカーとしての重要な責任範囲として、対応をすすめています。

 また、社内では2年前より、「環境負荷低減目標5ヶ条宣言」として、(1)室温の適正化、(2)消灯、(3)クール&ウォームビズ、(4)ノー残業デイの設定、(5)節水の5項目、並びに、オフィスペーパーのリサイクルに積極的に取り組んでいます。

元気なモノ作り中小企業に認定

 同社は今年、経済産業省がまとめた「元気なモノ作り中小企業300社2007」の1社に選ばれました。石油地下貯蔵タンクの国内シェアの高さが評価されたものです。6月に東京国際フォーラムで開かれた「新連携/モノ作り中小企業全国フォーラム」で、甘利経済産業大臣より感謝状の贈呈を受けました。

 玉田社長は、「地下にこだわったコアの技術で、より一層、地球環境に優しい事業を積極的に展開をしていきたい」と話しています。

【会社概要】
創業
 1950年
資本金 5250万円
年商 59億円
社員数 157名
業種 給油所の建設、地下タンクの製造・法定検査ほか
所在地 石川県金沢市無量寺町
TEL 076-267-4888
URL http://www.tamada.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2007年 7月 5日号から