ミニエコビレッジ「風の荘」 (株)ケイ・ワタベ 社長 渡邉 公生氏(京都)

京都、100年の庭で暮らす

ミニエコビレッジ「風の荘」

(株)ケイ・ワタベ 社長 渡邉 公生氏(京都)

 京都・金閣寺の南側に隣接する約400坪の土地に、今年5月、木造住宅3棟からなるミニエコビレッジ「風の荘」が誕生しました(あと1棟の建設を予定)。

 もとは西陣織の「旦那衆」の別荘だったところ。100年の歴史を経た自然豊かな環境を大事にしたいと、マンション計画を拒み続けていたオーナーが、渡邉公生氏((株)ケイ・ワタベ社長、京都同友会会員)の提案には、「全てお任せします」と即決でした。

 渡邉さんの提案は、スイス生まれのバウビオロギー(建築生態学)という考え方に基づいたものでした。「何よりもまず、そこに住む人間を中心に考え、体の健康、心の安らぎ、その人の生き方を実現していこう」とし、「家を建てることが、近所や地域、国、自然や地球に対してバランス、調和のとれたものになるように、トータルに計画していこう」とする考え方です。

 「風の荘」では、「京都、100年の庭で暮らす」をテーマに、(1)水の循環・削減(2)CO2排出量の抑制(3)給湯エネルギーの40%カット(4)100年の生態系を守る(5)人間の恒常性(ホメオスタシス)を維持できる空間、の実現を目指しています。

 生活排水は生物濾過(ろか)システムにより再生し、トイレと洗濯で再利用。壁や床には吸湿性の高い桐を使い、リグノ工法と呼ばれる木造パネル式の壁は、木を格子状に組み合わせて風の道を確保。この夏の猛暑も、エアコンなしで過ごすことができました。電磁波や有害化学物質からの人体保護にも万全を期すなど、全てに考え抜かれた工夫がちりばめられています。

 「住まいは人の充電器」と考える渡邉さん。10月18日、地球環境問題交流会第5分科会で報告予定です。

「中小企業家しんぶん」 2007年 10月 15日号から