第12回女性経営者全国交流会・学びのポイント(2)

第4分科会

「生命(いのち)を育(はぐく)む女性の愛(パワー)で 地域とともに 社員とともに」をメインテーマに「第12回女性経営者全国交流会が6月7~8日、東京・椿山荘で開かれます。その学びのポイントを紹介します。

自ら市場を創るために
(株)桐光クリエイティブ 社長 吉田 聡子さん(北海道)

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札幌をスイーツの街にしようという<スイーツ王国さっぽろ>プロジェクトや、100万アクセスを超える人気サイト北海道観光服装情報<これきてドットコム>の実現などを仕掛け、映像制作という業種の枠を超えたビジネスチャンス創造に取り組む同社。自ら市場を創る独自のチャレンジを紹介。
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 「これきてドットコム」は、北海道旅行に何を着ていけば良いかの疑問にこたえる服装情報サイトですが、観光客が何を求めているか、調査できるツールでもあります。「これをたくさんの北海道の企業に役立てていただくのが、私の役割」と吉田さんは語ります。

 最終的には、北海道への観光客と北海道の企業、特に中小企業とのマッチングサイトになりたいと、新しいビジネススタイルにチャンレンジ。地域活性化に身近なところから取り組み、広くつなげていく吉田さんの「地域活性化の参加型ケース」に学びます。

設立1978年
資本金1000万円
社員数13名
年商 1億3000万円 TV・行政・企業のCM等の企画制作

第5分科会

社員をパートナーに選ばれる店作り
(株)花とも 社長 記州 陽子さん(石川)

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家出を宣言して23歳で創業、路面店もオープンさせ、パチンコ店の景品に花を納入して売上は爆発的に上昇したが条件変更から赤字を招いた。生きる土俵は町の花屋だったはずと気づき、ショッピングセンターに店舗展開する。「社長は命がけ、皆は生活かけよ」と社員に語り、仕入時間と重なる朝礼には手紙を渡す。経理を公開して社員と協力共同の関係づくりをしてきた。資格取得を奨励してプロ集団を組織化、選ばれる店作りを目指す。
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 「花とも」は、ショッピングセンターに絞って店舗展開を進め、2006年には金沢市の郊外に2店舗を出店し、合わせて5店舗となりました。店先を通る買物客は、イキイキと語りかけてくる花々に足をとめます。代行方式をとらず、社長自ら早朝の市場で仕入れていることが、選ばれる店作りの大きな決め手といえるでしょう。

 店に立つ社員は、安心の笑顔で対応します。その笑顔に、顧客は「次も来よう」と思うのです。

 ステップアップセルフチェック表には、60項目を書き出し、会社が社員に求めていることを表現しました。「『共に育つ』社員も、共同経営者」と、記州さんは語ります。そして、「利益は独り占めできない」と。

設立 1991年
資本金 1000万円
社員数 15名
年商 1億5000万円 フラワーショップ経営

第6分科会

“学んで実践”を目指す二人三脚の経営
(株)アートスクリーンヨシオカ
社長 吉岡 明彦さん/専務 吉岡 由紀さん

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夫が父親から社長を継承し、必要に迫られて入社した夫人。経営者としては素人同然の2人で「立て直し」のスタート。妻として仕事を手伝うのではなく、経営を学びたいと女性部会に。ひょんなことから中同協女性部連絡会に参加し感動を覚え、「もっと勉強したい」気持ちになった時に「『人を生かす経営』実践道場」の案内が届き、社長と2人での参加を即決。二人三脚で半年の12講座を終えて学んだことをすべて語る。
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 京都同友会が昨年度から開設した、経営指針の見直しと成文化に取り組む「人を生かす経営」実践道場の1期生として、唯一、夫婦で学んだ吉岡夫妻。「何のために生きているのか」「何のために経営しているのか」自分としっかり向き合い、答えを出すことに時間をかけ、経営者の姿勢、お客様や社員との関係など、試行錯誤の中で経営指針を作成しました。

 その過程で、夫である社長と妻である専務が、「徹底した話し合いをすること」「理念を共有すること」の大事さに気づきます。夫婦で経営している方、経営者と幹部社員にぜひ聞いてほしい内容です。

設立 1974年
資本金 1000万円
社員数 6名
年商 1億5000万円 スクリーン美術印刷

第7分科会

同友会で学んで企業間ネット~ワークづくりの実践
(株)リヴル総研 社長 奥村 繁子さん(福井)

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福井県で4番目の「新連携事業」の認定を受ける。コア企業として、製造各社をつなぐパイプ役、コーディネーターを担っている。水引細工の劣化防止剤として開発された「超越液」を中小企業の商品開発、高付加価値化に応用し、中小企業の市場創造の応援をめざす。連携5社のなかで3社が同友会会員企業。同友会での学び合い、相互信頼をベースに事業化が進んでいる。新たに新会社(株)コラボリンクも立ち上げた。
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 地域発、内発型の新しい市場を創造していくことは、中小企業にとって、今後の生き残りと成長をかけたテーマのひとつです。

 中小企業新事業活動促進法では、異分野の事業者が有機的に連携し、経営資源を有効に組み合わせて新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図ることを「新連携」とし、その支援を行っています。

 福井で4番目の新連携の認定を受けた奥村さんは、市場創造と高付加価値製品作りを応援したいとの高い志を掲げ、ネットワークづくりに取り組んでいます。

 同友会は、理念の実現を経営実践で示す仲間たちの集まりです。経営者の考え方や事業の内容も互いに良く理解し、連携の仲間としては最適です。また、連携を具体的に進めるなかで、互いの経営を相互検証する機会ともなります。
設立 1987年
資本金 1200万円
社員数 21名
年商 1億8000万円 社労士・ITコンサル・労務コンサル業務

「中小企業家しんぶん」 2007年 5月 5日号より