【特集】第35回青年経営者全国交流会(参加者感想)

“みんなちがってみんないい”

人間尊重の経営は“共育”が原点

 9月13~14日、山口県下関市で「第35回青年経営者全国交流会」(青全交、中同協主催)が開かれました。メインテーマは「みんなちがって みんないい」。46同友会、935名の参加者が14の分科会と対談、映画に学びました。

 参加者からの感想、3つの分科会紹介、対談の概要、幹事長のまとめを紹介します。

●参加者からの感想
 第4分科会―経営理念の成文化を軸に社内改革に挑戦
 報告者 小野カレンダー(株) 専務 小野 英之氏(岡山)
 第11分科会―同友会運動50年と中小企業憲章
 報告者 中同協 相談役幹事 赤石 義博氏
 第14分科会―日本一のふく市場
 報告者 下関唐戸魚市場(株) 社長 松村 久氏(山口)
●分科会紹介
 第8分科会―私たちが郷土(ふるさと)の未来にできること
 報告者 (有)アンドーコーポレーション 社長 安藤 陸男氏(岩手)
 第10分科会―経営のことはすべて同友会で学んだ!
 報告者 (有)広和化成工業所 社長 山俊壱氏(愛知)
 第12分科会―金子みすゞ、詩とその心
 報告者 梅光学院生涯学習センター講師 木原 豊美氏
●対談
 人格を認めあって生きること
 ~金子みすゞ、の世界と映画「ヘレンケラーを知っていますか」
●幹事長のまとめ
 地域を変える中心との自覚をもって~中同協幹事長 広浜泰久

【参加者からの感想】

第4分科会 経営理念の成文化を軸に社内改革に挑戦

報告者 小野カレンダー(株) 専務 小野 英之氏(岡山)

 小野英之氏の報告で私が感じたこと、それは自社の職員の大切さでした。会社というものは職員がいてくれて初めて成り立つもので、経営幹部だけで頑強な会社になれるかと言えば、そんなことは絶対に有り得ません。何事にも屈しない頑強な組織、会社にしようと思えば、労使が互いに絶対的なパートナーシップで結ばれていることが必要不可欠であり、それはわれわれ中小企業だからこそ成せる業であると思います。

 大企業では末端の「声」は届きません。われわれの強みである経営幹部を含んだ職員全員のコミュニケーション、これこそがその会社に勤めている人の自己実現への第一歩となると私は考えています。「この会社に勤めて良かった、そう職員に言ってもらえる会社でなければならない」小野氏はそうおっしゃられていました。私も同意見です。

 今後は理想の会社を目指すべく、今年度作成した経営指針を掲げ、全職員とその家族が幸せな人生を送ることのできる企業基盤の確立を目指していく所存であります。

(株)デルタ自動車四条教習所常務 臼井庸浩(京都)

第11分科会 同友会運動50年と中小企業憲章

報告者 中同協 相談役幹事 赤石 義博氏

 「なぜ一向に地方の経済が良くならないんだろう?」。数年前からこんな疑問が常に頭から離れなかった中で、今春、同友会の中で中小企業憲章に出合い、われわれ中小企業が生きて行くためにはこの憲章しかないと確信し、今回楽しみに参加しました。

 赤石前会長の講演ということで、グローバルな話を中心に、地球温暖化や人間が幸せに生きるためにはなど、広い視点でのお話となり、グループ討論もそういった幅広い視点での議論が多かったように感じました。

 私としては、地方経済の悲惨さや、露骨な大企業優先の政府の政策について具体的に激論を交わしたかったので、こうした抽象的な討論は少し残念でした。

 今、地方の中小企業経済は中央資本の大企業の進出により、瀕死(ひんし)の状態です。どんなに努力しても、地域経済の中にお金が回らなければうまくいくはずがありません。

 中小企業憲章制定の運動を進め、「大企業だけを優先するのではなく、中小企業の果たす大きな役割を認める」ということを国の基本政策に据えてもいいころなのではないでしょうか。そんなことを感じた青年全国交流会でした。

西条タクシー(株) 社長 西條勝昭(福島)

第14分科会 日本一のふく市場

報告者 下関唐戸魚市場(株) 社長 松村 久氏(山口)

 元の唐戸(からと)市場を経て、ふぐの市場として一元化された「南風泊(はえどまり)市場」へ到着。現場を、報告者の案内のもと見学しました。その後報告が始まり、ふぐ業界の現状、市場の一元化の推移、養殖ふぐの台頭(現在総量の約90%)、社員を育てるための多角化戦略など、非常に興味深い内容でした。

 新分野を立ち上げる際には、社員をトップに登用し、喜びや悩みを体験させることで、共に育つ経営を実践されているとのこと。

 「水産業の発展に寄与し、安心・安全な水産物を取扱い、創造的な企業へ」の経営理念を掲げ、社員を引っ張る松村社長の熱意と情熱が真っ直ぐに伝わってくる内容で、同友会での学びを着実に実践されている姿そのものは、私自身また自社において、明日からの経営にまさにそのまま生かせる分科会であったと強く感じました。

 ふぐ刺し調理を実際に体験し、皿盛りし、それぞれ自宅への土産とするという粋な企画もあり、報告者が冒頭に「忘れられない分科会としたい」との意気込みを実践するものでした。

 余談ですが、移動中のバス車内では、ガイドさんの案内で壇ノ浦や巌流島など下関の歴史の一部に思いを寄せる時間もあり、この点も良い印象を残した見学分科会でした。

フジワラフーズ(株) 常務執行役員 宮田 正一(長崎)

「中小企業家しんぶん」 2007年 10月 5日号から