空気中の細菌・ウイルスを殺滅 「アドック神戸」/北斗電子工業(株) 社長 中野 浩一氏(兵庫)

空気中の細菌・ウイルスを殺滅
「アドック神戸」/北斗電子工業(株) 社長 中野 浩一氏(兵庫)

 
 北斗電子工業(株)(中野浩一社長、兵庫同友会会員)がコア企業となり、昨年9月に「新連携」事業に認定された「細菌・ウイルス瞬間加熱殺滅装置」の開発とその事業化は、「アドック神戸」による連携体で開発・事業化を進めているものです。

 「アドック神戸」は、11年前の阪神・淡路大震災後、自立した中小企業の連携により「第2創業」を目指そうと、兵庫同友会に生まれた共同受注・共同開発グループです。設立後、さまざまな開発に取り組み、各開発テーマごとにプロジェクトが組まれています。今回のプロジェクトは3年ほど前に、「アドック神戸」に対し、兵庫県の(財)新産業創造研究機構を通して依頼があったことがきっかけです。

 製造面ではコア企業の北斗電子工業(株)のほか、(株)藤製作所、森合精機(株)、(株)ツインテック、(株)奥谷金網製作所が連携し、販路開拓は明花電業(株)が担当、神戸大学医学部で殺菌性能の測定評価を行っています。

 この「細菌・ウイルス瞬間加熱殺滅装置」は、「乾燥空気による加熱殺滅」と「高濃度酸素イオン殺菌」を併用して、空気中に浮遊する細菌・ウイルスを殺滅・不活化し、高度な無菌環境を達成するもので、北斗電子工業(株)は、高濃度イオン殺菌技術などを提供。病院や医薬品製造会社、高齢者福祉施設を対象に、インフルエンザウイルスや結核菌への対応などでも市場性が高いとしています。

 2月16~17日に大阪で行われた「医療・健康福祉産業マッチングフェア2006」(中小企業基盤整備機構近畿支部主催)にも出展し、これまでなかった空気中の細菌を殺滅できる装置に高い関心が寄せられました。

 北斗電子工業(株)の中野社長は、「この装置を通った空気は、細菌・ウイルスがほとんどゼロになる。市場性を高めるために、技術だけでなく、デザイン性も配慮した。今後の課題は、さらにコストダウンを図るとともに、医療関係向けに販売していくためには、薬事法による『医薬用具』としての認可が必要。早期に認可がとれるようにしていきたい」といいます。

 3年かかって、ようやく事業化までこぎ着けましたが、それができたのも、「『アドック神戸』のメンバーが理念を共有しながら、人間的な信頼関係をつくってきたこと。それによって、この人にならこれだけつぎ込んでもいい、という関係ができたから」と中野社長。「新連携」の認定を受け、商工中金も全面支援しています。

 同社は、震災前は特定の1社からの受注開発がほとんどでしたが、自社ブランド製品が作りたいと開発に力を注いできた結果、今では20%が自社ブランド。今後は、大企業も含めた幅広い連携をはかりながら、50%にまで持っていきたいと話しています。

「中小企業家しんぶん」 2006年 3月 5日号から