環境にやさしい耐水加工液の産業利用 (株)コラボリンク 社長 奥村 繁子氏(福井)

環境にやさしい耐水加工液の産業利用
(株)コラボリンク 社長 奥村 繁子氏(福井)

多様な分野で応用開発が期待される「超越液」

 福井同友会会員の奥村繁子氏((株)リヴル総研社長)が社長を務める(株)コラボリンク(資本金1000万円)をコア企業とする新連携事業「シロキサン結合アルコール溶剤(超越液)を活用した製品(木工製品、ハープ、住宅)の商品化・販売」が昨年9月、近畿経済産業局の「新連携事業」に認定されました。

 この「超越液」は、揮発性有機溶剤を含む可燃性の液体です。木材や紙、皮革、繊維などにコーティングすることで表面をガラス質化。通気性を残しながらも優れた撥水(はっすい)性があり、耐水・耐油性も高いものです。また、ダイオキシンの発生や食品衛生上の有害物質を含まない、環境にやさしい材料です。こうした特性を有する超越液は、さまざまな基材に利用されて初めてその特性が生きてくることから、多様な分野での応用開発が期待されています。

女性企業家同士が意気投合

 基礎技術を提供したのは、横浜の(株)飾一(岩宮陽子社長、水引細工製造・販売)。もともとは、同社の本業である水引細工の劣化防止のために開発研究されたもので、大昭和製紙などいくつかの大手企業にも原料として供給しています。

 その後、同友会を通じて奥村氏と岩宮氏が出会い、意気投合。超越液の活用を核とした「新連携」をめざし、地域の中小企業の高付加価値商品づくりや技術応用に生かしていくことになりました。

 連携体は、この2社のほか、(株)末広漆器製作所(市橋啓一社長、福井同友会会員)、青山ハープ(株)(青山真専務、この連携を通じて入会)、奥村木材建設工業(株)の5社で構成。

 製造業がコア企業となる事例が多い中で、今回コア企業となったコラボリンクは、製造各社をつなぐパイプ役、コーディネートを担っているのが大きな特徴です。また奥村氏をはじめ、基礎技術を持つ(株)飾一の岩宮社長も女性。女性企業家がリード役となっていること、さらに、福井県内の中小企業が、「市場創造と高付加価値製品づくりの応援をしたい」との高い志を掲げて連携していることも注目されます。

木工製品、ハープなどで新事業開始

 現在、超越液は「越前孫悟空」のネーミングでボトルタイプにした商品が販売され、コラボリンクが販売元となっています。

 (株)末広漆器製作所では、これまでの漆器販売や製造の既存ルートを生かして、すでに木製品の風呂桶や、まな板など食に関する木製品への応用を進めています。あらゆる木製品のカビや変色の防止を付加価値として、受託加工を中心に精力的に営業を展開。自社の事業領域の拡大と売上増加に結びつけています。

 また、国内でも有数のハープ製作メーカーの青山ハープでは、温度変化によるハープの共鳴版の伸縮防止材としての試験研究を進めており、東南アジアや寒冷地市場をねらった製品づくりに生かす方針です。

「中小企業家しんぶん」 2006年 7月 5日号から