建築確認遅延問題で国交省、中企庁と懇談~アンケートもとに要望・提言

 
円滑・柔軟な対応で混乱収束を

 中同協は11月7日、東京同友会とともに建築確認遅延問題で国土交通省と中小企業庁に要望・提言(別掲)を提出・懇談しました。

 建設業界は、6月から施行された改正建築基準法により、着工認可が大幅に遅れ、混乱が広がっています(本紙11月5日号既報)

 要望・提言では、8府県の同友会のアンケート結果(回収総数1723社)を紹介。建設業で5~7割、建設業以外でも2~3割が建築確認遅延問題の影響を「現在、受けている」と答え、「これから危惧(きぐ)される影響あり」という建設業者が6~9割に達する勢いにあるという深刻な事態に至っている現状を強調しています。

 懇談の中で、要望に対して国土交通省の担当者は、「建築基準法施行規則の一部改正など円滑な運用に努めており、収束の見通しは難しいが、担当者が習熟すれば徐々に解決していく」としました。これに対し、同友会側からは、「東京都の確認検査機関の担当者は人手不足などで100日(審査期限は最長70日)はかかると言っており、現状認識に問題があるのでは」と指摘。

 中小企業庁との懇談では、中小企業庁の担当者は、同友会の提案に対し、「セーフティネット保証の5号認定の指定リストを建設関連業種を中心に拡大することを検討している。そのためのデータを収集しており、同友会の調査も役立つことや、公共事業の中小企業向けの前倒し発注についても検討する」としました。

 国土交通省から、住宅局建築指導課の松野秀生課長補佐、民間事業支援調整室の林直人課長補佐、総務課の松田友造企画調整係長が、中小企業庁からは、経営安定対策室の飛田聰室長、伊藤三郎課長補佐、企画課の山影雅良課長補佐が対応。東京同友会から、政策部長の水戸部良三氏(水戸部(株)社長)、富塚孝氏(新協建設工業(株)社長)、星野輝夫氏(受注連建設事業協同組合理事長)が、中同協からは瓜田靖政策局長など2名が参加しました。

建築確認遅延問題に関する要望・提言事項

 耐震偽装事件の教訓から安全性の確保を目的とした改正建築基準法の主旨を踏まえつつ、建築確認手続き等に関する円滑かつ柔軟な対応を求めるものです。次の事項に要望をまとめましたので、関係各位の早急な対応を要望します。

(1)今回の建築確認遅延の影響を地域ごと、関連業界ごとに広く、実態調査を行うこと。また、いつ混乱が収束するか、見通しを公表すること。

(2)改正建築基準法の運用に関連して、(1)確認申請の審査期限を厳守すること、(2)ピアチェックの対象物件を減らすこと、(3)現場の工事工程を尊重した変更申請業務にすること、(4)安全性が低下しない条件で着工後の適合性判定不要の計画変更制度を設けること、(5)過剰な確認申請図書の簡素化、など円滑かつ柔軟な対応に努めること。

(3)運転資金(つなぎ融資)に関して、行政として特別に対応すること。特に、政府系中小企業金融機関の対応に加え、信用保証制度等での積極的な対応を早急に実施すること。
 (1)セーフティーネット貸し付けの適用の拡大
 (2)既往債務の返済条件緩和等の対応

(4)関係部局の人員を増やし、特別体制で処理にあたること。

(5)行政において特別窓口を設け、適切な対応を行うこと。相談体制の周知方にも努めること。

*要望・提言全文は、こちら
 

「中小企業家しんぶん」 2007年 11月 15日号から