仕事と家庭が両立できる企業づくりを~「ワーク・ライフ・バランス」シンポジウム・中同協が内閣府と共催

 「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」や「行動指針」が昨年末に制定され、国家プロジェクトとして取り組まれる中、2月16日には内閣府などの主催で「ワーク・ライフ・バランスシンポジウム」が、東京・学術総合センターで開かれ、500名が参加。中同協は第2部で中小企業経営者向けの分科会「社員の力を引き出す中小企業経営者の姿勢とは~仕事と家庭が両立できる企業づくり」を企画運営し、91名が参加しました。

 中同協が企画運営した分科会は、育児休業制度や時間短縮にも積極的に取り組んでいる(株)ヒロハマの広浜泰久社長(中同協幹事長)と、育休を取得した社員の末吉浩美さんの報告をもとに、中小企業でワーク・ライフ・バランスに取り組む意義を深めました。

 冒頭、糸数久美子・中同協女性部連絡会代表が、「よい会社づくりの同友会活動の原点に社員と育ちあう関係づくりがある」など、あいさつと企画の趣旨説明を行い、平田美穂・中同協事務局次長が座長を務めました。

 広浜氏は、社員が長く働き、能力を発揮してもらうことで、会社も発展すること。社員が生涯設計できる会社となるよう人事管理制度や職能資格制度、自己啓発の仕組みを導入していることなどを紹介。制度導入の失敗例と教訓なども共感を呼びました。また、創意工夫して時間短縮に取り組むことで、コストダウンにもつながると話しました。

 末吉さんは10年前新卒入社し、社内結婚。同社は、子どもを産んでも働き続けることが当たり前の社風があること、合同企業説明会のときにその実績を話すと、大学生も高い関心を示すことなどを紹介しました。

 助言者の奥津眞理氏(労働政策研究・研修機構統括研究員)は、人口減少社会となっている日本で、これから5~6年のワーク・ライフ・バランスの取り組みが勝負となること、休業中の支援や、顧客の要求にこたえながらも残業しないで仕事のレベルを上げていくこと、社内情報共有の大切さなどについて発言しました。

 その後、参加者は10グループに分かれて、「仕事と家庭が両立できる企業にするには」をテーマに討論。参加者の半数が行政担当者だったこともあり、経済団体と行政がタイアップしてこの問題に取り組んでいくことの大切さなどが話し合われました。

 最後に、座長の平田氏が「地域を支えるのは中小企業であり、ワーク・ライフ・バランスに取り組むことで、社員の力を引き出し、企業としての魅力を増すこともできる。具体的に取り組むヒントは現場にある」とまとめました。

「中小企業家しんぶん」 2008年 2月 25日号から