クリーンな地域環境の創造 (株)リバイブ 社長 平沼 辰雄氏(愛知)

(株)リバイブ 社長 平沼 辰雄氏(愛知)

環境メーカーとして地域に発信

 持続可能な社会づくりに向け、地域に根ざす中小企業の役割はますます高まっています。「地球クリーニング」を理念に掲げる(株)リバイブの平沼辰雄社長(中同協地球環境部会代表)の中同協第40回定時総会での分科会報告より概要を紹介します。

 わが社は1964年1月に平沼建設として創業し、1999年に(株)リバイブと社名を変更しました。

 「リバイブ」とは「回復する、復元する」という意味です。21世紀を迎えるにあたり、若手社員と一緒に考えたものです。「社会的に存在価値のある会社にしたい」という思い入れがここに表れています。「解体」だけでなく、原状の回復や復元を目指す思いで新たなスタートを切りました。

同友会で学び気づいた存在意義

 産業廃棄物業者は基本的に地域から歓迎されません。どちらかというと嫌われる企業でした。同友会に入会したとき、「あなたの会社の存在意義は何ですか」と聞かれ、ドキッとして何も答えられなかったことを覚えています。今は堂々と言えるようになりました。

 リバイブの存在意義は別掲の通りです。同友会理念を真似たところがありますが、それまでの理念を深めるきっかけとなったのが、『経営理念』(赤石義博・中同協前会長著)を読んだことでした。社員と話し合いをした結果、「われわれの目指す姿はこれだよね」ということになりました。まさに21世紀型中小企業です。

善循環型社会の構築

 リバイブの経営理念は「地域から地球へ地球クリーニング」です。まず地域の中で私たちリバイブが率先して地球環境に良い取り組みを行い、実践するモデルとして存在したいとの思いから生まれました。

 私たちは、廃棄物処理業者がゴミを出さないシステム作りです。我々が一生懸命処理しても、大量消費型社会では限界がきています。廃棄物を出さない、抑制するシステム作りが必要なのです。

 この「善循環型社会」へどう変えていくのかが大きな課題です。そしてその循環のスタートにわれわれがなってもいいのではないかと考えています。「廃棄」をモノを循環させる基点として、「廃棄」「資源」「製造」「消費」それぞれが双方向の視点を持ちながらコミュニケーションをとり、考える社会が「善循環型社会」です。

業界のオピニオンリーダーを目指して

 長期目標は、まず産業廃棄物業界のオピニオンリーダーになることです。現在は産業廃棄物のマネジメント、いわゆる循環型の社会システムマネジメントを行っています。

 その1つに解体工事があります。すべて再資源化され、埋め立てゼロを目指し、手選別の分別作業を行っています。しかし、中には手選別のできない処理困難物がでてきます。そこで、処理困難物にはイエローカードを出すことで、排出企業に改善提案をし、適切な分別を促しています。

 新規事業としては、最終処分場や不法投棄現場の含水比率の高い廃棄物を分別することで、最終処分場の延命・リメイクをしていきたいと思っています。

環境事業で環境共生型コミュニティの「見える化」

 環境事業としては、本社をモデルルームとして壁面と屋上に太陽光発電パネル、屋上緑化、太陽光採光システム、風力発電を設置し、環境共生機器の販売も行っています。

 「農」を中心とした環境事業部も始めました。食農循環プロジェクトの一環として今秋に「農業法人」を立ち上げる予定です。将来ビジョンの「環境共生型コミュニティ」の「見える化」です。

 この「環境共生型コミュニティ」づくりは、中心にリバイブの廃棄物処理、周りに「食農循環」「バイオマス資源・有機物の再利用」「堆肥製造」「食品リサイクル」というキーワードで実施していきます。現在は、実証圃(ほ)、展示圃という形で約900坪ほどの有機の畑作を行っています。障害者の雇用も考え、同友会会員企業と提携して行っています。

 リバイブのビジョンは、エネルギーの自給自足、食の安心・安全、高齢者や生活弱者も生きがいを持って働ける場の創出です。

行政とパートナーシップ

 わが社の前の道路が非常に汚れていたので清掃活動を始めたのですが、現在は愛知県とパートナーシップを結び、周辺企業と一緒に行っています。

 地域の憩いの場を作りたいとの思いから、本社横の池の浄化も始めました。地域の農業系高校と一緒に取り組んでいます。ホタルが飛び交うような自然に戻したいと考えています。

 このような活動を通して、地域からの見方が変わりました。どんな企業でも地域で認められる存在にならなければ、その地域に必要とされる企業にはならないと考えます。

CSRで市民から評価

 わが社は、日本財団の「市民が選ぶCSR(社会的責任)プラス大賞」で、ソニーなど大企業が集まる中、全国で16位にランクされました。

 順位よりも、市民の方からさまざまな意見をいただいたことで、非常に勇気をもらいました。なにより社員が一番喜び、「私たちは社会からこんなふうに見られているのか」「私たちの会社ってすごい」と言ってくれたことが、私にとって一番うれしかったことです。

 また、業種別のCSR報告書の調査では、大手ゼネコンを含む建設37社中、4位にランクされました。これは、経営指針書を社外発表したからでした。普通、会社の中で存在意義や方向性を社員に向けて発表しますが、それを地域に向けても発表しました。同友会の言っている理念や社員教育すべてが企業の社会的責任を満たすものになります。同友会理念の普遍性がより裏づけられたということではないでしょうか。

できることから1つずつ

 私たちは産業廃棄物処理が完了した際、お客様に「この現場ではこのような形で排出されました。もう少し分別していただければコストがこんなにも削減できます」といった形で報告書を書いています。このスタイルを繰り返すことで、お客様に理解していただき、コスト競争ではなく、リバイブのファンになっていただくことを目的としています。「リバイブのファンを作れ」というのが営業の合言葉です。

 私は、この業界に入ったときに「何でこんな業界で汚いことをやらなければならないのか」と思いました。しかし、今は、夢とやりがいがあります。

 経営理念に則(のっと)り、「環境」というキーワードの中で、自分でできることを探し出し、会社の中で実践することが地域貢献だと考えます。私たちもまだまだ劣悪な環境ではありますが、この中で将来ビジョンが描けるような企業になったということです。

会社概要

創業 1964年
資本金 1200万円
年商 15億円
社員数 44名(内正社員27名)
業種 建造物解体、産業廃棄物処理、環境回復・復元
所在地 弥富市西中地町五右
TEL 0567-65-8870
http://www.revive.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2008年 8月 15日号より