第14回障害者問題全国交流会 人間尊重の社会をめざして

全国から415名が参加

6つの分科会の座長が一堂に会して行われたパネルディスカッション

 「人間尊重の社会をめざして~今できることを1つずつ」をテーマに、第14回障害者問題全国交流会(中同協主催)が9月19~20日、東京・明治学院大学白金キャンパスを会場に開かれました。1日目は6つの分科会で、2日目は、全体会でパネルディスカッションと記念講演が行われました。

 当日は、台風が迫りくる中、北海道から沖縄まで32の同友会と、行政や障害者支援機関などから415名が参加しました。

 1日目は、経営指針づくりをすすめる中で、社員の力を最大限引き出し、人を育てるのが使命と気づき、障害者の雇用を始めた体験など、6つの分科会で雇用や仕事づくり、障害者・高齢者のための旅づくりなどが報告されました。

 東京同友会担当の分科会では、行政や就労支援機関も企画から参加し、実際に障害者を雇用している企業と社員が登壇。明治学院大学との産学連携の分科会では、学生が障害者雇用企業にインターンシップで入り、共に働く中で考えた共生社会への道筋と今後の課題について報告しました。

 2日目午前は、「人間尊重の社会をめざして」をテーマに、6つの分科会の座長をパネリストに、望月実行委員長がコーディネーターを務め、パネルディスカッション。分科会の概要が紹介された後、「私が今、できること」について、「障害者雇用で店の雰囲気が温かくなった経験がある。再度雇用に挑戦したい」「やりがいのもてる職場環境づくりに取り組む」など、会場からも発言が相次ぎました。

 午後は、ソフトブレーン(株)の創業者・宋文洲氏の記念講演が行われた後、交流会宣言が大きな拍手で採択されました。

【交流会宣言】

 私達は今、どのような社会を目指しているのでしょうか。

 今から60年前の1948年12月10日、世界の国々は国際連合の総会で高遠な理想を「世界人権宣言」として採択しました。

 その第1条には次のような一文が記されています。

 「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利とにおいて平等である。
 人間は、理性と良心とを授けられており、同胞の精神をもって互いに行動しあわなければならない。」

 人類に多大な惨禍をもたらした第2次世界大戦を教訓としたこの人権に関する世界宣言から60年たった今、私達はいまだ厳しい状況に置かれている障害者へと思いをはせるに至り、その成果は国連障害者権利条約の採択・発効へと結実しました。

 しかし、「すべて人間は、生まれながらにして自由であり、尊厳と権利とにおいて平等」であるというこの高遠な理想は、実際の私たちが生きている社会の中にどの程度生かされているのでしょうか。

 今年で創立より50年を超える歴史を持つ中小企業家同友会は、「労使見解」の精神に基づく経営指針成文化運動などを行い「人間尊重の企業づくり」を進めてきました。

 今から25年前の1983年には、経営者団体として異色の障害者問題全国交流会を初めて開き、以来、障害者雇用や、共に生きる企業づくり、地域づくりに力を入れてきました。

 このように、私たちは障害者とのかかわりを通して、人間らしい生き方を真剣に探し求め、具体的に地域での共生社会作りを実践してきました。

 この交流会では、多くの中小企業家と、複数の働く障害者や障害者の自立を支援する行政や市民達、そして次代を担う学生達が一堂に会しました。

 皆様と交流する中で、今、生きること、働くこと、経営することの原点をそれぞれの立場から改めて見つめ直し、それぞれが今できることを浮き彫りにしてきました。そして、共に人間尊重の社会を目指す思いで、深く共感しあうことができました。

 この深い共感を胸に、人類全体で地球を守ろうとする潮流をさらに押し進め、時に人間同士の「同胞の精神」に立ち帰り、私達は真にすべての人々が幸福に生きられる「人間尊重の社会」を目指して、今この時から、具体的な一歩を踏み出しましょう。

 2008年9月20日

第14回障害者問題全国交流会

「中小企業家しんぶん」 2008年 10月 5日号より