「事態は深刻」と会員の切実な声【京都】

景況調査、緊急金融問題アンケートもとに、行政、各政党と意見交換

自民党との懇談会。京都府議会議員24名のうち21名が出席。挨拶する中沼代表理事。

 「中古車の年間販売数は全国で約100万台。しかし急激な売上げ不振で12月に入ってまだ1台も売れていないという中堅企業もある。年間約40万台を日本から輸出しているロシアが関税を引き上げるためその影響も心配だが、新車が売れないと中古車が市場に出なくなりさらに事態は深刻」。これは、京都同友会が12月に実施した京都府商工労働観光部、京都市産業観光局との懇談会で発言のあった中古車販売業の会員の切実な声です。

 懇談会では京都同友会の景況調査(08年7~9月期、回答384社)と「緊急金融問題アンケート」(実施期間11月4~20日、回答323社)の結果、各業界の具体的状況などを交えて意見交換しました。急激な景気後退への対応として、京都府は「緊急経済・雇用対策本部」を、京都市は「緊急経済・雇用・生活対策本部」をそれぞれ設置し、また府市協調で「中小企業緊急資金対策融資」を1月1日から実施することなどが紹介されました。

 金融問題についての会員企業の実情は、アンケートによると、資金繰りが「窮屈」「やや窮屈」と回答した企業が52・3%に達しています。融資内容の変化では「金利をアップされた」「新規の融資を断わられた」「金融機関、保証協会とも審査が厳しくなり、借り入れが難しくなった」「セーフティネットの業種指定は細分化しすぎているため、逆に該当しない業種が多い」との訴えもあります。

 また、国の緊急保証制度について「知らない」との回答が49・2%あり、「知っている」の47・7%を上回りました。同制度の利用については、51・4%が「予定はない」と回答し、大不況の中で返済のメドがたてられないような安易な借り入れはしないという姿勢も読みとれます。

 景況調査によると、資金繰り動向では企業規模が大きくなるほど「余裕がある」という割合が高く、小さいほど資金繰りが困難な傾向が出ており、9月15日の“リーマン・ショック”以前から金融機関の選別融資が始まっていたものと考えられます。

 あわせて京都同友会では昨秋以降に、自由民主党、公明党、民主党、日本共産党とそれぞれ懇談会を開催し、現下の地域経済と中小企業経営、中小企業憲章、中小企業・地域振興基本条例などについて問題提起し、政策・施策のあり方などについて意見交換しました。

「中小企業家しんぶん」 2009年 1月 15日号より