今こそ問われる経営姿勢 日本経済再生は中小企業再生から

同友会景況調査(08年10~12月期)

 「世界同時不況・受注止めの中、経営崩壊の危機」―2008年10~12月期の中同協景況調査結果をまとめた「同友会景況調査報告(DOR(ドール))」85号が発行されました。2008年9月、米証券大手リーマン・ブラザーズの米市場最大の負債総額を負って経営破綻して以来、アメリカ発の金融危機は世界恐慌にまで至りました。2009年も不況がさらに深刻化する見通しで、受注減の中、中小企業はまさに経営崩壊の危機に直面しています。

経営崩壊の危機に直面

 業況判断DI(「好転」―「悪化」)企業割合)は7~9月期に比べ、マイナス33からマイナス49と16ポイント悪化しました。これは売上高DI(「増加」―「減少」割合)がマイナス18からマイナス38へと20ポイントも悪化し、経常利益DI(「好転」―「悪化」割合)もマイナス33からマイナス44(11ポイント減)へと激減したことによるものです。

 DORで業況判断DI、売上高DI、採算DIともに、今まで景気を牽引してきた製造業、地域的にはトヨタ依存度の高い北陸・中部、企業規模では20人以上100人未満の中堅層で最も強い打撃を受けています。

 大企業が多国籍企業化する中、日本経済の本物の再生は、中小企業の強固な再生なくしてはありえないことを改めて浮き彫りにした結果となっています。

 今期調査では、記述回答数も多くなっています。

 「業界では、かつてないスピードで景況が悪化。業界全体の生き残りが至上命題」(宮城、流通・商業)といった厳しい経営環境の中で、「石橋をたたきながら前向きの姿勢で経営」(群馬、計測器販売)し、避けられない不況期には「現場力、社員力の勝負(力の差)が企業競争の分岐点」(福岡、製造業)と見定めつつ、全社一丸となって危機を乗り越える算段を考えています。

 先行き不透明だからこそ、資金繰りに行き詰まらない最新の財務管理も肝心。「黒字倒産を防ぐため…“勘定合って銭も足りる”経営を目指します」(熊本、自動車整備)。「こういう時代だからこそ、『不易流行』の『不易』である理念経営を実践する。お客様、社会にどれだけ理念を発信できるかがとても重要なとき」(沖縄、清掃品レンタル)と、ブレない経営姿勢が大事と思い定める会員企業の覚悟が伝わります。

 今号の「DORの眼」は『今日の事態は「資本主義の限界」なのだろうか』と題して神奈川大学の大林弘道教授が執筆しています。

 「DOR85号」ご希望の方は、300円切手同封の上、中同協までお申し込み下さい。下記でも紹介しています。

「中小企業家しんぶん」 2009年 2月 5日号より