ものづくりの可能性さぐる~価格決定権もった自社商品を【新潟】

新潟・三条支部会員が連携して「愛」のメダル

 世界同時不況で大打撃を受けた新潟県燕三条地域。新潟同友会では、下請け体質を脱し、価格決定権を持ったものづくりへの転換をめざし、会員企業が連携で新たな取り組みを始めました。その第1弾が「愛」のメダルです。

 新潟県燕三条地域は、全国有数のものづくりの地域です。会員企業が集まれば、何でもつくれる土壌をもつのがこの三条地域。この特性を生かしていきたいと、昨年から幹事会や例会などで意見を交換してきました。今後のものづくりの可能性を探り、下請け体質から価格決定権をもった「ものづくり」のあり方を考えてきました。

 製造業は、昨年の世界同時不況の影響で、かなりの大打撃をうけています。その中で、自社商品への挑戦、自社ブランドと技術力を生かすにはどのようにしたらよいか。検討の結果、NHKテレビの大河ドラマ「天地人」の主人公、直江兼続公の兜の前立てにしている「愛」の文字をデザインしたメダル製作に取り組みました。

 当初、新潟同友会賀詞交歓会の記念メダルとして、「愛」の文字と同友会のマークをデザインしたメダルを製作し配布。これが会員に好評で、その後、一般販売用に研究開発、試作を繰り返してきました。このほど、「愛」と「絆」、「愛」と「開運」の2種類のメダルを製作し、発売することになりました。

 メダルは鉄製で、金メッキを施し、「金」が落ちにくいような表面処理をしてあります。携帯ストラップとして使え、価格は税込み900円となっています。

 (株)サンシンがロストワックスと呼ばれる精密金型でメダルの原型を製作、磨き屋シンジケートでも有名な(有)小林研磨工業が磨きの仕上げ作業を行いました。さらに、倉橋鍍金(株)が金メッキをつけ 中越印刷(株)がパッケージし、(株)東邦社が取りまとめています。

 すべて新潟同友会三条支部の会員企業の連携で製作しました。「製造業をやっていて、販売に携わってみると初めてのことが多く、小売りの勉強にもなった」と話しています。

 今回の経験を通して、多品種少量生産で、企業のロゴやマークをデザインとした記念メダルをつくるなど、さまざまな要望にこたえることができ、現在、記念品の製作の相談を受け付けています。

「中小企業家しんぶん」 2009年 5月 25日号より