わが社の定期健康診断―企業変革支援プログラム ステップ1 その9

II 経営理念を実践する過程 (2)経営方針の策定

 今回は、「カテゴリーII」の「経営理念を実践する過程(方針・計画策定プロセス)」の2回目です。

 経営指針は経営理念、経営方針、経営計画からなると同友会では定義していますが、「経営方針」とは、「経営理念の実現をめざし、中期(3~5年)のあるべき姿と目標を示し、それに到達するための道すじを示したもの」としています。

 ステップ1の「経営理念を実践する過程」カテゴリーの(2)は、理念を実践に移すための経営方針の策定について問うています。

 設問には「経営方針では、時代の流れをつかみ、顧客の声に耳を傾け、自社の長所、短所を分析し、変化の中から自社が発展する道を見つけ出し、3~5年の期間で達成する目標とそれを実現するための方策を確定します」とあります。

 成熟度「0」では「経営方針策定の必要性を認識していない(策定していない)」で、「5」は「経営方針が内部・外部環境の変化に適応し、社員の動機づけがなされ、全員参加型経営が実現している」となっています。

 経営方針は、経営理念の実現として会社の進むべき基本方向を、全社の知恵と情報を結集して策定することが望まれます。

 変化の激しい、厳しい時代に、どのような企業づくりをしていくのか、具体的に全社で実践に移すためには、経営者として当面の計画を明らかにする前に、将来の方向性を全社で議論し、内部や外部の環境分析を行い、社内の課題を明らかにして、解決方向を明らかにしていかなければなりません。

 1口に方針といっても、取引先や商品サービス、社員、社会、顧客に対してそれぞれに対応した方針が必要です。

 社員一人ひとりの経営理念への理解を深め、現状をしっかり見極める力をつけながら、全社一丸となって社員に力を発揮してもらうためにも、このプロセスが重要です。

 毎年の見直しも前提にして、社内で方針の見直しの仕組みとサイクルを確立していくことが求められます。

「中小企業家しんぶん」 2009年 10月 5日号より