【地球環境問題交流会第2分科会報告概要】“地球に優しい”が省エネ・コスト削減に

(株)鐘川製作所 社長 鐘川 喜久治氏(福岡同友会地球環境問題委員会CO2削減部会長)

 鐘川製作所は、金属関係の加工をやっております。私で4代目です。福岡同友会の地球環境問題委員会での勉強会に触発されて、昨年10月に福岡県エコ事業所を登録、同時にエコ活動を本格的に始めました。

 当社では、2001年にISO9000を取得し、07年に14000を取得しています。ISO14001の認証取得と「福岡県エコ事業所」の登録を機会に、経営の課題のひとつに「環境」を取り入れ、事業活動に際して環境への負荷を把握し社員への周知を行いました。

 それまでは、「省エネ=コスト削減」といっても、社員にあまり普及しなかったのですが、「エコ活動」、つまり「地球に優しいことを仕事の延長でできないか」という視点で行うと、若い社員を中心に活動が広がっていきました。結果的にそれが会社の省エネ、コスト削減につながってきています。日々の改善提案活動や5S活動の業務でも、環境との調和や改善に配慮を行うようになり、社員一人ひとりの意識に変化が表れるようになりました。

 また、これらの活動にはIT活用が非常に大きな役割を果たしています。データ化した省エネ運動の“見える化”により、多くのムダの削減が行われ、環境負荷の低減が実現し、それらが経営効率の向上へと繋がりました。

不況下のエコ活動は会社を強くする

 リーマンショックまでは、「材料の歩留まり率を仮に3%上げれば、それだけで数千万のお金が浮きます」と説明しても、社員にはピンとこなかったのです。それがこの「エコ活動」を「省エネ活動」に結び付けたところ、社員の中から「現在の材料の使用率、歩留まり率に関してデータをどんどん教えてください。どうすれば歩留まり率が上がりますか」という意見が出るようになり、コスト削減につながってきました。

 やはり自分たちの業務の中で、「環境に良い事をしている」「自分たちの業務の中で環境に貢献できる」ことが、社員の誇りにつながっているのではないかと思います。

 売上を上げるのはもちろん、現状維持さえ難しいこの不況の中で、経費を削減すれば、それが純利益に変わります。経費を削減していくことが会社を強くしていく。そして今度景気が回復してきた時、会社が大きく成長する基盤になることを社員一人ひとりに啓蒙していく。

 そのために今、社員と一丸となってエコを取り入れ、省エネ、コスト削減に日々取り組んでいます。

会社概要

創業 1914年
資本金 4000万円
社員数 51名
業種 総合精密板金、建築金物、建具工事などの製作施工
所在地 福岡県糟屋郡須恵町
TEL 092-932-4166
http://www.kanegawa.co.jp/

「中小企業家しんぶん」 2009年 12月 5日号より