わが社の定期健康診断―企業変革支援プログラム ステップ1 その14

[3]人を生かす経営の実践 (4)対等な労使関係

 みなさんは「対等な労使関係」という言葉を同友会で聞いた時に、「経営者は家屋敷を担保に入れて会社を経営しているのに、なぜ社員が対等なのか」と疑問を抱いたことはないでしょうか。

 同友会では、1960~70年代の労働争議が激しかったころ、ストが続いて倒産する企業も出ました。そのころの同友会では、どうしたら全社一丸の経営ができるのか、社員に理解してもらえるのか、経営者の経営姿勢や労使のあり方について真剣な論議が行われました。その教訓を文章化したのが「中小企業における労使関係の見解」(以下「労使見解」)です。「社員はパートナー」というベースに、「労使見解」にある「対等な労使関係」の考え方があるのです。

 企業内においては、労働者は一定の契約にもとづいて経営者に労働力を提供しますが、「契約」とは、双方対等な立場で取り交わすことが建前ですから、契約内容に不満をもち、改訂を求めることは、むしろ当然のことと割り切って考えなければなりません。その意味で労使は相互に独立した人格と権利をもった対等な関係にあるといえます。

 経営者としては、労働者、労働組合の基本的権利は尊重するという精神がなければ、話し合いの根底基盤が失われることになり、とても正常な労使関係の確立はのぞめません。

 この項では対等な労使関係を維持発展させるために、あなたの会社ではどのような労使の関係づくりをしているかを問うています。

 成熟度レベル「0」は「対等な労使関係を築く必要性を認識していない(築いていない)」で、標準化されている状態の「3」で、「対等な労使関係を築く仕組みがあり、経営に反映されている」としており、具体的には「経営問題や労働環境改善などについて、労使の双方が建設的に対等に協議しており、その成果が経営に反映されている」状態を指しています。あなたは社員との関係をどのようにつくっていますか。

「中小企業家しんぶん」 2010年 1月 15日号より