東北から地域と日本を変えよう【東北の食と農を考える見学交流会in青森】

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 6月17~18日、「東北の食と農を考える見学交流会」が青森県で開催され、2日間で131人が参加しました。

 一昨年岩手で開催された「農業・食糧生産関連部会見学交流会」がきっかけとなり、昨年、宮城同友会農業部会の呼びかけで「東北の食と農を考える見学交流会inみやぎ」が宮城県で開催されました。そこでは、“東北の食と農を考えることが、地域と日本を変える”として、東北6県の農業関連会員や食糧生産に関心のある会員が、「年に1度学び、交流しよう」と継続して開催することが確認されました。

 3年目の今年は青森同友会地球環境部会が準備を進め、6月17~18日に実施。東北6県をはじめ、愛知、静岡、東京からの参加者もあり、2日間で 131人が交流しました。

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1日目の見学会は、飼料穀物取扱量全国第2位の八戸港グレーンターミナルの見学を経て、国内生産の80%のシェアを占める青森県のにんにくの生産現場を2カ所見学しました。

 住友化学(株)三沢工場は、本業の家庭用殺虫剤原体の製造のかたわら、地元貢献の位置づけで、青森県と共同開発したにんにく優良種苗「白玉王」の開発育成と計画的種苗増殖を行っています。その実験農場をにんにく栽培コンサルタント芹沢教雄氏の案内で見学。

 (株)東北有機リサイクル(蛯沢正紀社長、青森同友会会員)は、本業の建設業から産学官連携で農業分野に進出し、有機農産物として長いも、にんにく、ヤーコンなどを栽培。さらにヤーコン焼酎を造るなど付加価値をつけている農場を、蛯沢氏の説明で見学しました。

 1日目夜の懇親会では「東北の食と農を考える見学交流会を、将来は日本の食と農を考える交流会にしよう」と平沼辰雄・中同協地球環境委員長の挨拶があり、青森同友会女性部による津軽名物「スコップ三味線」の披露など、楽しい交流が続きました。

 2日目は青森県弘前市のりんご栽培農家である(株)木村興農社・木村秋則氏の実践報告講演会。木村氏は絶対不可能と言われた無農薬・無肥料りんご栽培に、10年近い無収穫時代を経たのち成功。現在は、自然栽培によるリンゴ栽培のかたわら、自然農法の農業指導を全国、海外で行っています。

 「人間はもっと自然から学ばなければならない」「今までの常識にとらわれない」「自然栽培は生産者が自立可能な栽培であり、地球環境保全や食糧危機にも対応できる農法である」と私たちへ問いかけ、これからの農業と自然環境に対する私たちの考え方や姿勢を考え直させる内容でした。

 来年は山形県での開催が予定されています。

「中小企業家しんぶん」 2010年 7月 15日号より