若者の悩みやがんばりが共感、理解される職場を【中同協・社員教育委員会】

“自分の物語”は1人では描けない

社員教育委員会1

 8月25~26日、中同協社員教育委員会が開かれ、26同友会と中同協から51名が参加しました。乾彰夫・首都大学東京教授の基調報告、各同友会での社員教育活動アンケートの結果報告、本郷利武・中同協社員教育委員長の問題提起などから人育ての課題を学び合いました。

第1日目の委員会では、乾彰夫・首都大学東京(東京都立大学)都市教養学部教授が「若者たちの〈学校から仕事へ〉の移行期の変容」と題して、基調報告を行いました。

 乾教授は自ら、2002年から高校卒業生に対して継続して行っている追跡調査を基に、事例を挙げながら報告しました。

 「就職してもすぐ辞めてしまう若者が多いのはなぜか」と問いつつ、「そこにはぎりぎりまで自分を追い詰めて辞めていく若者の姿がある」と指摘。不安を抱えながら「失敗しちゃいけない」と1人でがんばる若者たちがいるとし、「失敗を恐れないがんばり」ではなく、「失敗を恐れるがんばり」の強迫性がそこにあると指摘しました。

 また、「自前の人生」、「自分の物語」という言葉で自己責任を押しつけられている社会の中で、実際には物語は1人では描けないことを強調しました。

 さらに、今若者が成長していける条件として、悩みや苦労、がんばりが共感的に理解される仲間やコミュニティー・職場の雰囲気が存在することが大切、と報告しました(詳細は後日、本紙で紹介予定)。

 報告を受けてグループ討論を行い、つづいて、6月に中同協が実施した各同友会における社員教育活動アンケートの結果が報告されました。

社員教育委員会2

 翌日は、本郷利武・中同協社員教育委員長が「同友会と共育ち(総会分科会から見えてきたこと)」と題して問題提起。教育の語源にも触れつつ、人が育つ環境が破壊されている今こそ、同友会の教育理念でもある「共に育つ」を足がかりに人育ての課題を学びあってほしい、と提起して、グループ討論を行いました。

 最後に、11月に愛媛で開催される「人を生かす経営全国交流会」での再会を約束しつつ、来年の社員教育全国研修・交流会は神奈川での開催を決めて閉会しました。

「中小企業家しんぶん」 2010年 9月 5日号より