中小企業等の省エネ活動を支援する仕組み

【中小企業のCO2削減努力を活かす!―国内クレジット制度活用のすすめ】(3)

 前回(9月15日号)で、国内クレジット制度には、大きく次の2つの目的があると書きました。

 (1)中小企業等の省エネ活動を後押しするため、努力の成果を政府が認証し、金銭価値のある「クレジット」を交付する。中小企業等はクレジットを売却し、省エネ設備投資回収の一助にする。(2)大企業等は中小企業等からクレジットを買い上げ、環境自主行動計画の数値目標達成に用いる。

 このうち、中小企業等の省エネ活動を後押しするための仕組みが、「削減方法論」と「ソフト支援事業」です。

 「削減方法論」とは、省エネ設備導入のためのメニュー表です。10月現在で40種類近い方法論が承認されており、ボイラーや空調、照明、太陽光発電などの省エネ定番メニューのほか、温泉排熱のエネルギー利用や電気自動車の導入といったユニークな方法論も登場しています。最新情報は制度の公式ホームページ(http://jcdm.jp/)を参照ください。

 政府の国内クレジット認証委員会に新規メニューを提案することもできます。私たちJCTXグループもこれまでに新規方法論を提案し、採択されています。現在も、グリーンIT関連の新規方法論を提案する準備を進めています。

 なお、国内クレジット制度は、エネルギー由来のCO2排出削減を推進することを目的に、石油等の化石燃料及び電気の使用量を減らす省エネ設備の新規導入や更新を促進するための仕組みですので、日常の省エネ努力といった「運用改善活動」だけでは制度の対象にはなりません。また、化石燃料及び電気の使用量の低減に直接は無関係の森林保全などの活動も対象外です。

 「ソフト支援事業」とは、中小企業等がこの制度を利用しやすくするための以下のような支援事業です。

・排出削減事業計画書作成の無償支援(省エネ診断を含む)/計画書審査費用の一部支援(今期は上限50万円まで)
・新規方法論作成の無償支援
・削減実績報告書作成の無償支援/実績報告書確認審査費用の一部支援(今期は上限15万円まで)
・政府への手続き代行
・削減実施事業者(中小企業等)とクレジットの買い手である大企業等との仲介

 JCTXは、初年度からソフト支援機関に指定され、活動してきています(詳しくは、http://jctx.org/soft.html)。

 次号から、実際の国内クレジット制度の利用事例をご紹介します。

 向井征二/(株)日本環境取引機構代表取締役(愛知)(元・経済産業省「中小企業等CO2排出削減検討会」委員)

「中小企業家しんぶん」 2010年 10月 5日号より