【経済データを読む】農業政策と食料問題

食料は今後の世界の大問題のひとつですが、日本では農業人口減少と農業従事者の高齢化が進んでいます。日本と同じように農家人口比率が少ない米国やフランスと比較してみると、租粒穀物など飼料も含めて食料自給率で大きな違いがあります(表)。

 農業への政府補填は、日本が15%、米国50%、EU80%といわれていますが、米国連邦政府の農業補助金は、食料の安定供給と農業生産と農業収益の低下をサポートする安全ネットとして実施。5つの主要な農産物に偏っていて、トウモロコシ・大豆・小麦・米・綿花への補助となっています。米国の 1995~2009年の農業補助金の総額は、2,452億ドル(22兆円)。年平均156億ドル(1.4兆円)の農業補助金が支出されています。その受給者のうち、上位10%の人が補助金の74%を受け取っています。この他に州、郡からの助成も受けて、大規模化と輸出に特化させています。

 EUは年間予算1,050億ユーロの約50%の農業助成金を恒常的供給と環境保護、家畜保護の立場で直接生産量補助として農家に支給。1968年共通農業政策(CAP)を成立させ、どれだけ生産しても保証価格で買い取るため、農業者は生産すればするほど儲かる仕組みになっています。さらに輸出補助金付きで、フランスは80年代に農産物輸出国になりましたが、農地が大きいため毎年520億ドルを超える補助金の5分の1はフランス農家が獲得し、環境保全などの観点から厚く保護されています。

 日本でも戸別所得補償制度などが一部実施されていますが、日本の農業の現状(農林水産省「農林業センサス」、2010年2月現在)は、農業就業人口が2005年からの5年間で75万人(22.4%)減の260万人。平均年齢は63.2歳から65.8歳に。農業経営体は16.6%減の167万、法人は16%増の2万2000。「買いたくても買えない時代がくる」という農学専門家の意見を見ても、農業や第1次産業を守る方法が求められます。

「中小企業家しんぶん」 2010年 10月 25日号より