国内クレジット制度利用の勘所

【中小企業のCO2削減努力を活かす!―国内クレジット制度活用のすすめ】(6)(最終回)

 政府は、中小企業等の利用を促進するためのソフト支援事業を民間機関に委託して実施している訳ですが、ソフト支援事業を利用する場合の勘所(利用条件)を重要キーワードで整理しておきます。

◆環境自主行動計画非参加/もともとこの制度は京都議定書の目標達成のために創設された制度の1つです。日本経団連等に参加する業界団体が自主的に宣言している自主行動計画に参加していない中小企業の削減分を政府が認証し、クレジット化したものを大手企業等が買い上げて目標達成に充当するのが本来の趣旨です。

◆国内クレジット認証期間/省エネ設備が08年10月21日以降に導入された場合には、今からでも、さかのぼって制度利用申請が認められます。制度の終了時期(2013年3月末)にもご留意ください。

◆承認済み方法論/40種ほどある省エネメニューから選択します。該当しない場合は「新規方法論」の提案が可能です。

◆削減見込量/年間削減量がおおむね年間50t-CO2以上あることが目安です。計算式は各方法論に定められています。

◆追加性/(1)既存設備が継続利用できることが必要です。電球が切れたから省エネ型に切り替えるといった単純更新の場合は利用が認められません。
(2) 公的補助金分を控除した、純投資額を年間の削減見込金額で割った投資回収年数が3年以上であれば制度を利用できます。3年未満または長期の場合は、経済性以外の理由などが明確に説明できることが必要です。補助金100%の場合は投資回収年数がゼロになってしまいますので、制度を利用できません。

◆省エネ量の予測/省エネ法の指定事業所の場合、直近の定期報告書を添付します。

◆ソフト支援を利用するためには、そのほかにもこまごまとした要求事項があります。

*制度をどのように利用すべきか、よくわからない場合は、何によらず、お気軽に、JCTX((株)日本環境取引機構)事務管理センター(TEL:052-961-2790、メール:soft@jctx.org)まで、ご相談ください。具体的なプロジェクトの話になる場合は、北海道から沖縄まで、全国11カ所に開設している「JCTX国内クレジット相談室」の専門家が支援活動にあたります。

向井征二/(株)日本環境取引機構代表取締役(愛知)(元・経済産業省「中小企業等CO2排出削減検討会」委員)

「中小企業家しんぶん」 2010年 11月 15日号より