小グループ活動~会員一人ひとりを主役に【滋賀・神奈川】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】1

 中小企業や同友会へ地域からの期待も高まり、その期待を受けて各同友会では工夫を凝らしたさまざまな活動が展開されています。本シリーズではこれまでの活動の見直しを行いながら、挑戦している活動や従来にはなかった新しい活動など、意欲的に取り組んでいる同友会の実践事例を紹介していきます。

 今回は、会員一人ひとりにとって身近な同友会にしていこうと取り組まれている、テーマ別、地域別「小グループ活動」を紹介します。この活動は福島や愛知の同友会で「会員を減らさない」活動の一環として成果を挙げており、神奈川や滋賀ではそれらの活動に学び、新たに取り組まれています。

200名展望する強靭な組織づくりをめざして【滋賀】

 現在、滋賀同友会では、研究グループ会(小グループ活動)が全支部で24のテーマで開催され、上半期で73回、のべ488名が参加しています。

 近年、滋賀同友会は、例会づくりと増強を重点課題として取り組んできましたが、2008年に長期的、戦略的な組織建設をめざすために、研究グループ会の活動を始めました。

 滋賀同友会1200名会員の実現を展望する中で、高い組織率で地域づくりに取り組んでいる同友会を調査しようと、2007年11月に「組織活性化問題調査チーム」8名を福島同友会福島地区に派遣しました。

 同チームは、毎日のように開催される研究グループ会を視察。そこでは「全員参加型の組織づくり」「集まりたくなる組織づくり」、そして「学びたいこと、やりたいこと、得意なこと」を中心に会員、役員一人ひとりが主役で学べる場づくりが行われていました。

 翌2008年から各支部の役員を中心に研究グループ会の活動がスタート。「経営指針を創る会予備校」「著名人に学ぶ・読書会」「会社の法務知識研究会」「日本文化体験研究会」などバラエティーにとんだ研究グループ会が開催されました。

 参加人数は5~15名程度で開催時間は平日昼間や土日の開催もあります。現在では参加者の強みや技術を連携し、新商品の開発を目的としたグループを立ち上げ、設計段階まできているものもあります。

 研究グループ会のテーマは、役員が会員訪問をしながら声を聞きテーマを設定する、また例会報告のテーマからその場で興味のある会員に声をかけるなど、1つひとつ無理をせず立ち上げて活動しています。役員が中心になって研究や学びを深め、連帯感がましています。

 始まって3年。少しずつその輪は広がっています。

今年度は14グループ多岐にわたるテーマで自主的に【神奈川】

 中同協第39回定時総会(2007年、香川)の第3分科会「400名体制堅持は研究グループ会活動が鍵」(福島同友会事例発表)から学んだ神奈川同友会のグループ研究活動は、2008年4月からスタートしました。

 スタートする際に設定した目的は、(1)同友会3つの目的を具体的に会員が認識し合う場とする、(2)会員一人ひとりが主人公として相互に学び、具体的な研究を通じて会員間のネットワークづくりを推進する、の2点です。

 当時の神奈川同友会会員数は約600名でしたので支部や地区ではなく全県レベルで行うこととしました。また主管は総務委員会とし、研究の内容や運営は同友会3つの目的に沿ったものであれば自由として、説明会を行って希望者を募りました。

 初年度は9グループ、2年目も9グループ、3年目になる今年度は14グループの登録がありました。グループ研究のテーマは多岐にわたっています。一例を紹介すると、「経営にITを活かすための実践コミュニティ」「経営を人間学(哲学)から学ぶ」「環境対策に取り組むための職場改善活動」などが毎月、神奈川県内の至るところで自主的に行われています。

 それぞれの参加者はグループによって異なりますが3~20名ほどで、今年度全体では約100名ほどの会員が活動に加わっています。年度末には一堂に会して成果発表会も行います。

 少数グループでの活動なので交流が深まり会員からは好評で、会員同志のビジネス交流も生まれてきています。今年度上期の退会者数が減少したことは、グループ研究活動が会員増強の「強」の部分で一定の成果を上げていると思われます。

 課題としては、グループ代表者のやる気の差あるいは負担増、支部や地区例会の参加者減少などが上げられますが、神奈川同友会の活動フィールドを限りなく広げるグループ研究活動のさらなる充実が期待されています。

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 5日号より