【2010全国広報・情報化交流会】 問題提起

 10月27~28日、「2010全国広報・情報化交流会」が山口市で開催されました(11月15日号既報)。1日目に行われた加藤昌之・中同協広報委員長と2日目の広浜泰久・中同協幹事長の問題提起の概要を紹介します。

問題提起(1) 「学び・伝え・伝え合うこと」を考える―中同協広報委員長 加藤昌之氏

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同友会の本質は、「学び」です。自主的に学んで、自分たちの経営体験を通しながら、社会を見据え、自らを、会社を変えて企業経営してきたという歴史があるわけです。そうした地道な活動にこそ同友会の原点があり、学びの場があるのではないかと思います。

またその自主的な学びが、民主的な会活動を支えているわけですが、この活動をどのように「伝える」のか。私は自主的に運動を伝え、発展させることが、広報の役割だと思っています。広報が伝えないと、組織には伝わらないですね。「機関紙が読まれていない」という声を聞きますが、それ以前に、機関紙を通じて伝えなければならないこと、学んだこと、われわれが叫んでいることをどこまで盛り込んでいるかが大切なことではないでしょうか。伝え方の問題では、会が一番エネルギーを注いでいるところ、知らせなければいけないところを戦略的に伝える必要があります。それが広報の原点なのではないでしょうか。

そして最後に、「伝え合うこと」。e.doyuなどの情報ツールの活用について、伝え合うという観点から考えてもらいたいと思います。綿密な連携、連帯感というのは、情報の「深さ」であり「回数」であり、「発信」「受信」といったことが「綿密」に行われることが基本です。そこから考えるならば、情報ツール、そして情報の扱い方が非常に大切になります。

会内の会員同士の意思の疎通を速やかに行うことも必要ですが、われわれが直面している課題について、経営環境改善に向けた中小企業家の声を集めて発信するなど、対外広報としてホームページなどの情報ツールをどう有効的に活用するのか、いかに強い力を持たせるか、というところも考えていかなければいけないことだと思います。

今回のテーマ「学び・伝え・伝え合うこと」。これは全てが一体で行われなければいけません。

同友会の3つの目的について、「まだ私はよい経営者でないから、よい会社にはなれない」「よい会社になっていないので、よい経営環境はつくれない」と言われますが、私はそうは思いません。3つ一緒にやるから強くなれるんです。

世の中を良くしたい、幸せの見える社会をつくりたいと思えば、そこには大きな志が生まれると思います。その志が行動になり、自分たちの活動を変えていく。ですから私は「何から行動を起こしますか?」ではなく「今何ができますか?」と言いたい。

対外情報、会内情報、そして中小企業憲章や5万名達成、そうしたことをどのように同友会として推進していくのか、それは私たちがどのように学び、行動を起こすかにかかっています。

問題提起(2) 5万名の同友会へ向けて、みなさんへの期待―中同協幹事長 広浜泰久氏

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増強運動の本質は「同友会の素晴らしさを伝えていくこと」

増強運動の本質は、同友会の素晴らしさを伝え、その醍醐味を享受している人を増やしていくこと、決め手は「歩く広告塔」だと思います。その増強運動に広報・情報化がどういう役割を果たすことができるのか、5点あげたいと思います。

1つ目は「中身をどこまで盛り込めるのか」。体制や予算を確保し、内容にはレベルの高さ、質も保証しなければいけません。2つ目は「それぞれの同友会の重点方針とどのようにリンクしているのか」。その時々の戦略、方針に基づいた戦略的な広報が行われなければいけません。3つ目はホームページ。更新頻度を高める仕組みをつくり、相手を引きつける構成・内容になっていますか。4つ目は、e.doyuアンケート機能の活用です。

今回のアメリカ視察では、データに基づいた政策提言・要請活動といった活用例を学びました。われわれもこのアンケート機能を十二分に活用し、行政やマスコミ、金融機関などへ随時提言できるようにしていければと感じています。

最後の5つ目はマスコミ対応です。マスコミなどに取り上げられることは、同友会自体の知名度や認知度を上げるということもありますが、会員自身に対しても、会の活動に対しての自信や誇り、確信につながります。

同友会運動を支える広報・情報化とその徹底的活用

それでは、広報・情報化の活用はどうしたらよいか。会活動の情報は会の財産です。これをどのように共有・集約・発信するのか。また、いわゆる「ごぶさた会員」に対するアプローチへの仕組みやツールの活用など、会員の顔の見える活動を行うことが重要です。さらにはそうした取り組みが、直接的に増強運動や退会防止に役立っているかも振り返る必要があるでしょう。

e.doyuのSNSは活用していますか。SNSは学び、仕事づくり、仲間づくりなどいろいろな側面で活用できる、大きな広がりを持っています。企業変革支援プログラムについても同様です。自社の立ち位置だけでなく、会活動にもフィードバックができますので、積極的に登録し、活用してほしいと思います。アンケート機能はどうでしょう。回答率が低いとデータの信用性や影響力は半減してしまいます。いかに回答率を高めるか、その啓蒙活動も課題の1つであり、そもそもe.doyuのアクセス数向上も課題となるでしょう。

それから広報・情報化の活動を通じての学びの機会をつくること。委員以外の人も含めた文章講座などで交流や連携が生まれることは素晴らしいことです。

最後に有機的な活動です。同友会で議案書やビジョンに基づいて活動していますが、PDCAは回っていますか。役割分担や進捗状況の把握、働きかけはどうですか。ここにどのように関わることができるのか、広報・情報化自体の課題とともに考える必要があるかと思います。

われわれは自主・民主・連帯の精神に基づいて活動しています。自主・民主、それぞれがあって、初めてその素晴らしさを最大限に発揮するための真の連帯が生まれます。問題提起されても、それを受け止めるべきところにインプットされないのでは、連携は生まれません。発せられた問題提起を情報としてインプットし、役員会などで討議されさらに先へ進む、という循環が大切です。そのつなぎ役としての広報・情報化がどんな役割が果たせるのか、情報の発信役としての役割も含め、課題として取り組む必要があるでしょう。

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 5日号より