会員の相互交流を支える会内広報【徳島・熊本】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】2

 各同友会の実践事例を紹介する本シリーズ。今回は会内広報活動について、「2010全国広報・情報化交流会」(10月27~28日、11月15日号既報)の第3分科会での報告から徳島・熊本の活動を紹介します。

会員主体の広報活動をめざして【徳島】

佐々木事務局長

報告者 徳島同友会 事務局長 佐々木 雅信氏

 徳島同友会では、2006年の青年経営者全国交流会(中同協主催、徳島同友会設営)を成功に導くツールとして、e.doyuの導入を決定しました。青全交のスケジュール調整やお知らせなどの情報を全ての会員と共有するためには、e.doyuを利用するほうがよいと判断したからです。導入した結果、インターネット環境があればいつでもアクセスできるため、打ち合わせなど頻繁に会うことができなくても、全会員に即時情報が共有されるようになりました。

 現在のe.doyuは、例会や委員会の案内は事務局が発信し、そのほか支部幹事会や昼食会などは役員など会員主導で運営しています。スケジュールや掲示板はもちろん、電子会議室「みんなの広場」も活発に利用されています。イベントやセミナー参加の呼びかけをはじめ、同友会だけでなく他団体主催のセミナー情報なども掲示しているのが特徴です。

 会報『徳島同友会ニュース』では、例会報告や会員によるコラム、会員企業の社員にインタビューする「社員さん数珠つなぎ」、会員インタビュー「そこが聞きたい経営指針」などを掲載しています。

 大きな特徴は、例会や会員によるコラムは会員自身が記事を作成するということです。例会報告については、3年ほど前は事務局で記事を執筆していましたが、支部設立後は例会の記録担当者に記録をお願いするようになったことで、会員自身の文章力向上にも役立っています。また、「社員さん数珠つなぎ」では、会員ではなく社員に職場の雰囲気や仕事のやりがい、困りごとについてインタビューを行っており、会員だけでなく社員にも読まれる会報になっています。

 その他対外的な広報としてホームページを作成し、定期的な更新を行っています。

 また外部発信として、地元徳島新聞「職場におじゃま」シリーズでは、経営理念をつくった元気な企業を紹介しています。今後ますます会員主体の広報活動が期待されています。

自らの力になる広報活動【熊本】

宇野委員長

報告者 熊本同友会 広報委員長 宇野 誠一氏
(合同会社 グラフィックカンパニー代表社員)

 熊本同友会の広報委員会は、現在32名で構成されています。特徴的なのは、各支部から選出するのではなく、広報委員が自ら会員に呼びかけて委員を増員していることです。

 文章を書くことが苦手という人も多い中「広報は必ず自らの力になること」「同友会と関係を深められること」を訴え、委員のモチベーションを上げています。

 会報誌『熊本羅針』は2009年4月、それまでの『くまもと同友NOW』からタイトルが変わり、中身である記事、コーナーも一新しました。誌面については年度初めに年内の記事内容、取材担当者をあらかじめ決定し、計画に基づいて作成しています。

 以前は、例会の記事作成依頼を会員に受けてもらうのも難しい状況でしたが、『熊本羅針』になってからは広報委員が主体となって、事務局と連携を取りながら誌面づくりに取り組み、多くの会員に協力を得ています。

 その中の1つである「各界からの提言」では、行政・大学・金融機関・各団体から毎月2名の方に寄稿してもらい、会員に対してもステータスを感じてもらえるようにしています。またこの提言をはじめ、ホームページでバックナンバーはすべて見ることができ、対外的にも同友会を知ってもらうツールとして有効なものになっています。

 会員増強への仕掛けについても誌面のところどころに表れています。特に表紙には必ず主要行事での集合写真を掲載し、自分や仲間の姿が掲載されていることで同友会に親近感を覚えるように工夫しています。

 また、「事務局の県内企業訪問」では、会員企業の参考となるような特色のある経営をしている企業に訪問することで、同友会のことを知っていただき、結果入会にもつながっています。さらに、多くの会員企業にも取材に行き、出番を増やしていくことで、そこから例会参加につながったり、会員同士の新たな出会いのきっかけとなったりしています。

 現在は取材のあり方など、無理なく継続できる体制を試行錯誤し、さらなる広報活動の充実を図っています。

「中小企業家しんぶん」 2010年 12月 15日号より