【経済データを読む】新卒者の就職氷河期

 2010年10月1日時点での大卒内定率(2011年3月卒業)は、前年比4.9%低下の57.6%と調査開始以来過去最低の水準。短期大学では22.5%とさらに低水準です。

 2010年3月卒業の大学新卒者の内定率を見ると、2009年10月時点で62.5%だったものが、2010年4月1日では91.8%と厚生労働省は公表しています(表1)。一方、2010年の派遣社員数は98万人、契約社員322万人であり、失業者は336万人。 2008年のデータでは、ニートは64万人、15~24歳では249万人が非正社員(46.6%)です。さらに非正規雇用者比率は、1990年の 20.0%から2008年の33.9%へと大きく上昇しています。

 このような現状から言えば、2010年4月1日時点での「内定率91.8%」も、非正規雇用の増加がかなりの部分を占めているのではないかと推定されます。「就職氷河期」とは、内定率だけではなく、雇用の中身からも言われているのです。

 2009年版中小企業白書によれば、1996年から2006年の10年間で、企業規模が小さいほど従業員が増加しています。従業員数が増加した企業の割合は、50~100人規模では50.9%、301人以上は37.1%。逆に従業員数が減少したのは、50~100人規模で47%、301人以上は 62.7%です。

 2002年と2007年を比較すれば、全体の正規社員数はほぼ変わりませんが、大企業全体で非正規社員数は527万人から684万人と増加。中小企業では非正規社員数は766万人から772万人と、ほぼ同じです。

これらの傾向をあわせて考えれば、大企業が正規雇用を増やさず、その分、就職氷河期を招いていることがよく分かります。規模別の求人倍率(表2)を見れば、大学生に中小企業の魅力を知ってもらい、中小企業が就職先の選択肢に入れば、この氷河期は解消されると言える数字です。

「中小企業家しんぶん」 2011年 1月 25日号より