勇気と感動を呼ぶ例会づくり~経営課題を持ち寄り、深め、学び合う~【福岡】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】5

 各同友会の実践事例を紹介する「変革と挑戦」シリーズ。今回は、1月まで117カ月連続入会を続けている福岡同友会福友支部の例会づくりを紹介します。

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 福岡同友会の例会は、数年前までは3分の1は外部講師の講演会、3分の1は会員交流、残り3分の1が会員の経営体験報告という内容でした。

 その後、理事会で例会のあり方を論議する中で、経営体験とグループ討論を基礎にした例会づくりへの「変革」に取り組んできました。

 今年度、福岡同友会では「大不況に負けない企業づくり」をスローガンに掲げ、自立的で質の高い創造的な企業づくりの実現にむけ、支部例会づくりに取り組んでいます。

 今回紹介する福友支部は、2000年5月から2011年1月まで117カ月連続入会を続けています。

「人間力を磨き人的資源を活かし、強靭な経営体質を築こう」。福友支部の今期の活動方針です。例会も「人間力」をテーマに企画してきました。

 福友支部では、役員会でしっかりと議論します。

 例会企画書は、開催月の3カ月前の役員会に第1次案を提出し、2カ月前に第2次案(「主旨・目的」「何を学ぶか」を承認)、1カ月前に第3次案(タイトル・テーマ、報告者を承認)、そして開催当月に最終案(グループ討論テーマを承認)を提出し、企画全体の承認となります。

 やはり一番重要なポイントは、“人(報告者)ありき”ではないこと。「主旨・目的」「何を学ぶか」に多くの時間をかけて議論します。

 ある例会の企画では、担当役員が「経営指針書を作成したが、社員に浸透しない(なかなか共有できない)」という自社の悩み(=経営課題)を、そのまま例会の学びたいポイントとして企画しました。

 その案をもとに役員会では、経営指針書の落としこみ(考え方)や、社長と社員の関係、社員満足(やりがい、誇り、喜び)について、企画した役員の想いや考えを引き出しながら、方向性をまとめていきました。

 このように、支部方針はもちろん、同友会理念を念頭に、経営課題に主眼を置き、常に経営の本質を捉えながら議論を行います。役員会の議論でも多くの学びがあります。

 報告者が決まれば、開催当日までに1~2回程度プレ例会を行います。また、当日グループ長には早く集合してもらい、グループ長研修も行います。

 グループ討論は大変重要です。ゆえにグループ討論テーマについても役員会でしっかりと議論した上で決定し、グループ長も「この例会で何を学ぶのか(自社に何を持ち帰ってもらうのか)」を共有して、グループ討論を進めます。

 こうして、例会は多くの時間と労力をかけて本番を迎え、 例会の最後は座長のまとめで学びを深めます。

 この例会を通して、参加者はもちろんですが、企画・運営を担当した役員、そして、何より報告者自身が一番勉強になっています。

 座長を担当した役員も、報告者との対話を通して多くの学びを得ています。参加者、報告者、担当役員、すべての人に学び・気づきが得られることが、同友会の例会の醍醐味ではないでしょうか。

 最後に、次月の役員会では報告書を提出して振り返ります。

 このように、企画案の審議から振り返りまで役員会でしっかりと議論し、役員会が責任を持って企画を練り上げ、より質の高い学びとなる例会づくり、「勇気づけられ、感動を呼び起こす」例会づくりを心がけています。

「中小企業家しんぶん」 2011年 2月 5日号より