企業変革支援プログラム活用は経営者の覚悟次第~総合包装(株) 社長 宮城 勇氏(沖縄)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】10

企業変革支援プログラム・ステップ1(以下「ステップ1」)の活用事例を紹介する本シリーズ。今回は宮城勇・総合包装(株)社長(沖縄同友会会員)の取り組みを紹介します。

写真

 びっしりと書きこまれたメモ書きと多くの付箋紙が印象的な「ステップ1」の冊子。この持ち主が沖縄同友会の経営委員長で総合包装(株)の宮城勇社長です。

 宮城氏は、「ステップ1」導入以前から積極的に社内変革に取り組んできました。「経営指針の作成」「売上至上主義からお客様へのお役立ち創(づく)りへ」「社員の目線を揃(そろ)えるための勉強会の開催」「難しいことへの挑戦よりもできることの継続」などを目標に掲げ、次々と具体的に実践・継続。これらの多くが社内風土として定着してきているそうです。このような取り組みを継続してきたことにより、「ステップ1」も比較的スムーズに導入することができました。

 導入にあたってはまず、宮城氏自身が中同協主催の会合に参加し、「ステップ1」について学びました。さらに「ステップ1」の書籍を熟読するなどして、1つ1つの設問の意味を理解しました。

 その後、自身が進行役を務め、幹部社員のみで回答、それから全社員へという流れでした。

 1年目は全社員の回答結果をグラフ化するところまで。2年目は結果をもとに重点課題を抽出し、自社の経営指針に反映させるところまで行えるようになりました。

 宮城氏は、これまでの取り組みを振り返り、「劇的に会社が変わったということはまだない」と話します。「どのような取り組みを行うにも、3年は継続してみないと具体的な成果は見えない。ただし、1年目と2年目の結果の推移で見ると、評価の平均は2年目の方が低くなっている」と言います。

 この結果について宮城氏は、「前年より後退したというよりも、社員一人ひとりが設問の意味を深く理解し、シビアに回答するようになったからこその結果」と分析します。

 初めて全社員で回答を行う際、「結果を見るのが怖かった」と本音を漏らす宮城氏。経営者として率直に点数がつけられるわけですから当然のことです。

 だからといってやらなければ、自社の課題解決が先送りされるだけ。プログラムを効果的に活用するには「経営者が覚悟を決めること」「現状に満足するのではなく、常に疑問符を打ち続けること」と語ります。

 どんなに良いツールを持っていても、経営者の「変革」の決意が固まらない限り、会社経営は前進していきません。

「中小企業家しんぶん」 2011年 2月 5日号より