共に学び合う仲間を増やし、元気な地域を

 地域で共に学び合う経営者を増やし、元気な地域をつくっていこうと、各同友会は会員増強運動に意欲的に取り組んでいます。八王子支部設立をめざす東京同友会と、「同友会紙芝居」の活用など工夫をこらしながら400名会員をめざす長崎同友会の取り組みを紹介します。

停滞する地域に新しい風を~八王子支部設立準備例会で入会相次ぐ【東京】

写真

 東京同友会は、多摩地域最大の都市、八王子で新支部設立の準備を進めています。八王子市は東京の最西部に位置し、人口56万人、企業数5600社です。しかし、市内経済の停滞は著しく、甲州街道の横山町など主要商店街も寂れる一方です。

 「停滞する地域に新しい風を吹き込もう!」と、昨年7月に会員7名で支部設立準備委員会がスタート。10月の第1回準備例会には42名、うちゲスト17名。12月の第2回例会には26名、うちゲスト9名が参加。この2回の例会で計11名が入会しました。

 準備委員会では、事前の報告者との打ち合わせ訪問、グループ討論のテーマ、グループ長、発表者の分担などきめ細かく例会準備をすすめています。また、市内企業へのDM郵送、市内異業種交流会への呼びかけを行い、多摩信用金庫や市役所の協力も得ています。多摩信用金庫とは、東京同友会三多摩支部が長年協力関係にあることもあり、八王子市内の16支店に同友会の案内チラシを置いてもらったり、入会候補者を紹介してもらうなど、さまざまな協力があります。

 例会はいずれも会員の経営体験報告で、「生の体験報告とグループ討論で元気を持って帰れる例会はいい」と、ゲストの方々が積極的に入会しています。また、例会後のゲスト訪問では、事務局だけではなく、市内では老舗と言われる菓子店の社長など数人の役員と一緒に訪問し、入会してもらっているのも新しい取り組みです。

 10月の例会に参加して入会した会員から「同友会の説明がわかりづらく不親切」と指摘されたことから、12月の例会では冒頭に同友会のオリエンテーションを行いました。「同友会の目的とは?」「支部例会とは?」「経営体験報告とは?」「グループ討論とは?」「学んだことを実践するとは?」など、ゲストの方々に分かりやすく説明し好評でした。

 昨年7名だった会員が現在21名になりました。準備委員会では、本年5月18日の設立総会に向けて40名の目標を掲げて取り組んでいます。

同友会は「荒波の中のコンパス」~400名会員めざし「同友会紙芝居」なども活用【長崎】

写真

 長崎同友会は、期首会員数329名からスタートし、372名となりました(2月2日現在)。2月には会員増強デーを予定するなど、年度末400名会員の達成に向けて、奮闘しています。

 その原動力のひとつになっているのが佐世保支部です。同支部は、期首の44名から、現在64名と会員数を大きく伸ばしています。同支部では、入会を勧める際の説明ツールとして「同友会紙芝居」を作成するなど、さまざまな工夫をこらして活動に取り組んでいます。

 「同友会紙芝居」は、冒頭で「社長さん、あなたの悩みは何ですか?」と問いかけ、続いて「荒波の中のコンパス それが同友会」など、同友会の魅力や活動内容を紹介し、入会を呼びかける内容で全15枚。同紙芝居は他支部にも活用が広がっており、常に携帯している役員がそれを活用して入会したケースも生まれています。

 「同友会紙芝居」を作成した佐世保支部の山領進・仲間づくり委員長((株)広告のアクセス社長)のコメントを紹介します。

「同友会会紙芝居」でぶれのない説明

佐世保支部 仲間づくり委員長 山領 進

 昨年4月に仲間づくり委員長を拝命し、さてどうしたものかと思い悩んでいたところ、お隣の熊本同友会の森川・前仲間づくり委員長の存在を知り、早速話を聞きに伺いました。お話は本当に参考になることばかりでした。

 そこで熊本同友会を真似て、年間計画を立て、目標を決め、オリエンテーションなども企画しましたが、やはり聞くのとやるのとでは大違い。なかなか思うにまかせません。しかし、一生懸命取り組む中で支部の雰囲気も少しずつ変わりはじめました。

 実際に会社訪問などをしながら気付いたことは、同友会についてなかなか順序だてて説明ができないということでした。話が横道にそれたり、予期せぬ質問が来て戸惑ったり、途中で相手方に電話が入ったりすると、もう何がなにやら分からなくなる始末でした。

 そんな折、私自身がある商品のセールスを受けた際、営業マンが紙芝居のような販促ツールを使って商品説明をしたのです。「これだ」と思いました。同友会版紙芝居を作れば、会歴の浅い会員さんでも、ぶれることなく同じ説明ができると思いました。

 会員増強は営業活動そのものです。増強を進めていく背景に、本来の同友会活動の充実が大切であることは言うまでもありませんが、他方で手段・方法にも工夫が必要になってきていると思います。つまり営業ツールの充実です。

 長崎では常時携帯できる名刺サイズの「入会申込カード」や、入会候補者を30秒で書いてもらう「ピンと来た人パッと書いて下さい」というツールなどを作成し実践中です。

「中小企業家しんぶん」 2011年 2月 15日号より