共同求人活動―企業づくりと地域の雇用・教育を担う運動【宮城】

【変革と挑戦―各同友会の実践事例から】7

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 宮城同友会の共同求人活動は1990年にスタートし、昨年は県内3地域(仙台・県南・県北内陸)で「合同企業説明会」を開催。年5回の説明会に64社が参加しました。

 宮城同友会の共同求人活動をふりかえると、1992年に「深刻な人手不足の中で“人の集まる会社、人の採れる会社、人の辞めない会社”をスローガンに、ただ人が採用できれば良いという活動ではなく、企業体質の改善、社員教育等を行い、学校や教師との信頼関係をつくりながら取り組んでいきます」(第 19回総会議案書)と、「『企業づくり』と『学校との連携』」が方針化されました。

 1996年には「同友会の求人活動は、働きがいと生きがい、就職活動とは何か、ということを学生や父母と共に考えながら進める活動です。

 企業にとっても“人の集まる会社”、“人の辞めない会社”、“人の育つ会社”を合言葉に、企業の体質改善と合わせて取り組みました」(第23回議案書)と、「『人が育つ企業づくり』と『地域の教育』」の視点が加わります。

 2007年には初となる地域版「合同企業説明会」を開催。白石蔵王地区(宮城県南地域)の役員が地域の学校訪問を行った際、「地元に高校生の働く場が少ない」との現状を知り、「何とか若者を受け入れる企業になろう!」との呼びかけから何度も話し合いを重ね実現しました。

 2009年には全国でも先進的な取り組みを続ける広島同友会を訪問し、質・量ともに圧倒的なスケールで開催された合同企業説明会と、きめ細かく地域に根ざす呉地域の共同求人活動を視察しました。

 この視察は、宮城同友会の共同求人活動に「運動としての共同求人活動」という新たな視点を与えてくれました。

 2010年には、(1)宮城県の東北各県から多くの若者が集まる地域特性と、(2)宮城県内の大学に入学した約半数が関東都市圏に就職し、残りの半数が宮城県以外の東北各県に戻らず仙台に留まるという現状から、「地域に若者を残す運動」をスローガンに、東北各県同友会の協力のもと、「宮城 Jobway第2回合同企業説明会~東北各県同友会共催~」を開催しました。また、行政からの依頼も増加し、採用に取り組む団体として認知が広がっています。

 以上のように、宮城同友会の共同求人活動の20年の歩みから見えてくる教訓は、共同求人活動は「『企業づくり』と『地域の雇用・教育を担う』運動」であるということです。多くの課題はありますが、三位一体の企業づくり(経営指針・共同求人・社員共育)を推進し、本気で地域を守っていく企業を増やしていく運動を一歩ずつ前進させていきます。

「中小企業家しんぶん」 2011年 3月 5日号より