チャレンジと改善で効果を生んだ「企業変革支援プログラム」(下)

【変革への第1歩~活用しよう企業変革支援プログラム】12

(株)岩崎 専務取締役 古口淳士氏(北海道)

 企業変革支援プログラム・ステップ1の活用事例を紹介する本シリーズ。今回は、2月15日号に引き続き、北海道同友会の「第28回全道経営者“共育”研究集会」第1分科会の報告から、古口淳士・(株)岩崎専務取締役(北海道同友会会員、事業内容/測量機器・事務機器・気象・地震等計測機器などの販売)の取り組みを紹介します。

PDCAサイクルで理念の浸透を図る「企業変革支援プログラム」

 当社の経営理念は、「社会のニーズに合ったシステムをお届けします」「ユーザーの立場になって考え、相互利益を生み出します」「全員参加の経営に依る安定成長と社員の生活向上を計ります」の3点です。

 その経営理念の浸透を図るために「企業変革支援プログラム」を利用しています。このプログラムは、会社の経営課題を明らかにする「会社の健康診断」として中同協が作成したものです。

 1から5の項目があり、1つ目は経営者としての責任を果たしているか、2つ目は経営理念を実践するための方針や計画づくりをしているか、3つ目は共に育つ環境づくりをしているか、4つ目は市場や顧客の把握をしているか、5つ目は付加価値を高めているかです。

 5つの項目を自己診断することで、自社の経営課題に気づくことができます。

 当社の場合は、その自己診断から出てきた課題を1つずつ改善していこうと、3カ月を周期に社員と実践し、再評価しています。手間のかかる作業ですが、このサイクルを回すことで、社員一人ひとりが常に自社の立ち位置を確認する機会となり、経営理念の浸透につながりました。

 当社の自己診断結果は、レーダーチャートにすると、バランスの悪さが目立ちます。特に顧客満足の把握、クレームの対応、「共育」の点が欠けていました。資格取得による個々人の能力の強化を強調するあまり、共に学ぶことを欠如させてしまったのです。

 そこで同友会大学にマネージャークラスを出すようにしました。半年余りで30講の講義とレポートの提出などハードな内容ですが、受講者は学んだことを力に成長し、不思議と業績も上り、途中で昇進する人も出ました。今では同友会大学への参加を指名されることがステータスになっており、これを突破口に社内の共育を深めているところです。

「岩崎ブランド」確立のために

 当社はメーカーの作ったモノを地元に広めることを使命としてきました。

 ところが現在は製品そのものが売れなくなり、市場は成熟化してきています。合わせて公共工事の削減、経済の衰退など、外部環境は激変し、会社の使命について考え直さなければならなくなりました。それが付加価値を提供する経営でした。

 社員は「岩崎ブランド」という言葉をよく口にします。誰がお客様のところにお邪魔してもある一定の提案や対応ができることがわが社のブランドだと定義しております。この言葉は経営理念の浸透の表れだと考えます。

 より良いサービスを提供するため、社員一人ひとりが主体的に考え、お互いを高めていく会社を目指して、これからも一歩一歩改善を繰り返していきたいと思います。

「中小企業家しんぶん」 2011年 3月 5日号より