福島は負けない 福島同友会理事長 東日本大震災復興・原発事故対策本部長 安孫子健一氏【福島】

総会(第2日目)特別報告より

安孫子氏

 今回の大震災におきまして、物心両面にわたるご支援、心より御礼を申し上げます。

 3月11日午後2時46分、東日本大地震が発生したわけでございます。それに加えまして、12日には、東京電力の福島第1原子力発電所で水素爆発があり、20キロ圏に避難命令が出まして、20キロ圏内には18名の会員の皆さまがいまして、県内外へ一時退避されました。

 南相馬市は7万人の人口でしたが、各地へ退避、避難され一時1万人まで減りました。その後、帰宅されまして現在4万人まで人口が戻ってきています。同じように35万人の人口のいわき市では、約8割の方が3日ほど、市内から退避されたという状況でございます。また、物資やガソリン、燃料など福島県境から中には入らないという状況が続きました。

同友会に入っていてよかった

 われわれが同友会の会員に対して発信しましたことは、会社を守ること、社員を守ることです。そして、お取引のある方々との関係を密にすること、そういったことをしっかりやっていただきたいと情報発信をしてきました。

 そして、東日本大震災復興・原発事故対策本部では、事務局員の方を中心として、安否確認を第一に考え、結果的に、1人の会員もお亡くなりになることなく、早めに全員の安否を確認することができました。このことは事務局員が使命感をもって、しっかり取り組んでいただいた結果と思っております。会員のみなさまからは「同友会に入っていてよかった」、そして「事務局員との絆があらためて強まった」という言葉をいただいています。その中でe.doyuの威力が発揮されました。会員全員で情報共有できたことは、大変大きな成果でした。

 南相馬市の会員の方々は、ご自身が被災されている中で、地域のみなさんの生活を守るんだという使命感のもとで、スーパーやバス会社、ガソリンスタンドなど大変な状況のなか、お店を開けて物資を供給し、地域に貢献されたということ。これは地元のみなさんから大変感謝されています。このことは、われわれは中小企業家であること、中小企業憲章の精神を具体化したものです。

「4重苦」の中で、5つの課題に取組む

 震災から4カ月、福島県はいまだに被災中です。地震・津波・原発事故・風評被害という「4重苦」の中にあります。特に原発から30キロ圏では、「警戒区域」「緊急時避難準備区域」「計画的避難区域」、そして指定なしという4つの区域に分かれています。それに加えまして、「特定避難勧奨地点」というホットスポットが散らばっています。

 復興への道のりは、長く、困難です。各自治体が復興会議を立ち上げ始めました。福島同友会が提言を行い、憲章にそった、中小企業振興基本条例を制定するチャンスと感じています。

 今、東日本大震災復興・原発事故対策本部と名称を変えて、すべての会活動を復興に向けての活動と関連させ、5つの課題に取り組むことにいたしました。

 第1に、会員企業の具体的な被害状況の把握の精度を高めていくこと。
 第2に、全県同友のネットワークを強化して、企業再建のための援けあい活動を進めようということ
 第3に、企業再建のための学びあい活動を推進しようということ。
 第4に、e.doyuやFAXなどの情報ツールを活用しながら、会員間の情報と知恵の共有、会員同士の励ましあいの活動を推進しようということ。その中で、行政や関係機関に積極的に政策提言活動を行ってまいります。
 第5に、原発、放射能汚染問題は大きな課題となっています。放射能汚染による直接被害、間接被害をしっかりと把握し取り組んでまいります。

 5つの課題を通じて、会員一丸となって復興に向けて取り組み、気持ちを持続させながら取り組んでまいりたいと思います。

同友会の絆と連帯

 福島を取材した新聞記者が「福島から嘆きを聞いた」といっておりました。県外に出ると相手にされないという状況があります。福島の誰もが感じている感情であります。しかしながら、震災後の、皆さまの支援、あらためて同友会の絆、連帯というものを、しっかりと確認させていただきました。 最後に、声を大にして言いたい。「福島は負けない」、そして皆さんありがとうございました。福島全研お待ちしています。

「中小企業家しんぶん」 2011年 8月 5日号より