【経済データを読む】高齢者世帯の消費

 敬老の日の9月19日、総務省統計局が「統計からみた我が国の高齢者」を発表しました。それによれば高齢者(65歳以上)人口は2980万人(総人口の23.3%)で過去最高(2011年9月15日現在推計)。前年(2956万人、同23.1%)と比べると、24万人、0.2ポイント増と、人口、割合ともに過去最高となっています。

 世帯主が高齢者・無職である世帯の2010年の1世帯当たり1カ月間の実支出(生活費などの消費支出と税金などの非消費支出を合わせたもの)は、エコカー補助金制度の対象であった自動車や家電エコポイント制度の対象であったテレビなどへの支出が増加、前年に比べ3000円増加し、22万7000円となりました。その結果、家計収支は3万8000円の赤字となり、不足分は預貯金などの金融資産の取り崩しなどで賄われています。2人以上の世帯のうち世帯主が高齢者の世帯の貯蓄現在高をみると、2010年は1世帯当たり2275万円となり3年連続の減少も、2人以上の世帯全体の平均(同1657万円)に比べると多く、高齢者が消費の主役になる可能性のあることがうかがえます。

 世帯主が高齢者の世帯における2010年の消費支出の構成比を、全世帯の平均における2010年の消費支出の構成比で割った比率を求めると、「保健医療」が1.40倍と最も高く、「教育」が0.06倍と最も低くなっています(表)。健康の維持・増進のため保健医療に費やす支出が多い反面、学齢期の世帯員が少ないことから、教育に費やす支出が少ない特徴がうかがえます。

 今後、さらに高齢者が増えていくことを考えると、先行きの消費の傾向が見えてきます。減少していく分野は、平均と比べて少ない「被服履物、交通通信、教育」の分野であり、伸びていく分野は平均より多い「食料、光熱費、家具家事用品、保険医療、教養娯楽」の分野であるとみて取れます。

表 消費支出の内訳および構成比など

「中小企業家しんぶん」 2011年 10月 25日号より