【寄稿】APEC「女性と経済サミット」に参加して (株)ディプロム 社長 貴島 清美氏(大阪)

 9月13~16日、アメリカ・サンフランシスコでAPEC「女性と経済サミット(WES)」が開かれ、日本として民間から参加した7名のうちの1名として、中同協から(株)ディプロム社長の貴島清美さん(大阪同友会会員)を代表派遣しました。貴島さんからの寄稿を紹介します。

APEC WESの概要

 本サミットは(1)資本へのアクセス、(2)市場へのアクセス、(3)能力や技能形成、(4)女性のリーダーシップの向上をテーマに、基調講演、全体会議、分科会、女性と経済パートナーシップ会合、ハイレベル政策対話会合が開催されました。

 経済成長のために女性の経済活動への参画強化についてどのように取り組むかを議論し、本サミットの「宣言」を行いました。宣言には「女性の可能性を最大限に引き出すための具体的な行動を取り、女性の才能を活用し、経済成長に向けて女性の貢献の最大化をめざす」などが書かれています。

クリントン国務長官基調講演

 本サミットは(1)資本へのアクセス、(2)市場へのアクセス、(3)能力や技能形成、(4)女性のリーダーシップの向上をテーマに、基調講演、全体会議、分科会、女性と経済パートナーシップ会合、ハイレベル政策対話会合が開催されました。

 経済成長のために女性の経済活動への参画強化についてどのように取り組むかを議論し、本サミットの「宣言」を行いました。宣言には「女性の可能性を最大限に引き出すための具体的な行動を取り、女性の才能を活用し、経済成長に向けて女性の貢献の最大化をめざす」などが書かれています。

同友会でどのように生かしていくのか

 今年は、中同協も分科会を担当した昨年のAPEC女性リーダーズネットワーク会合(以下WLN)と違いました。

 これまでの草の根的活動を、アメリカ国務長官ヒラリー・クリントン氏の強い主導によりトップダウン方式に変換され、産・官トップのコミットを推進力とし、女性の社会進出と貢献が、経済社会全体を押し上げることを強調しました。

 各国が次回までにどのようなことをしていくのかが今回の課題です。

 昨年のWLNに参加した際にも、感じたことですが、問題点や議論をいくら繰り返しても、具体的実行にいたらなければ、何も変わりませんし、政府も関わった、勉強会や助成金などの補助、専門家による仕組みづくりの支援などと絡ませていかないと難しいと感じました。

女性人材の活用は企業の戦略として

 日本においては、少子高齢化に伴う人口減少があり、女性人材の活用は中小企業にとって重要な課題となります。ワークライフバランスと同じく、中小企業の現状を考えれば実行していくための、ハードルはたくさんありますが、社会的な要請への対応という形で受動的に取り組むのではいつまでたっても実行できないと思います。

 自社の競争力強化と成長のためには、人材の育成や活用が重要であるという認識にもとづいて、積極的に女性人材の活用に取り組むことが、持続可能な社会となります。

 女性人材の活用においては、従来からの不平等の是正、機会均等の実現という面だけでなく、企業の戦略として、多様化する顧客ニーズや市場に対応するために、多様な個性や特性を持つ人材を育て、さまざまなライフスタイルや労働観を持つ労働者を雇用する体制が必要だと思います。

 女性の労働力率のM字型カーブにみられるように、出産、育児期の就業は負担が大きく、継続就業は困難です。そういった面においても、パートタイマー、在宅勤務といった多様な勤務形態を構築する必要があります。

 仕事と家庭の両立が図られ、スキルと経験を持った人材が長期的に働くことは企業にとってもメリットが大きいし、女性が働きやすい職場環境の整備、両立支援の取り組みは社員の満足度を高め、会社全体の活性化につながります。中小企業はその柔軟性を活かし、女性人材の活用を通じて、企業価値を高め、競争力を高めていく必要があります。

女性の可能性を最大限に引き出すこと

 同友会は学びの場や、産官学の連携など、さまざまな協力体制があります。小さな会社1社ではできないことも全国で組織化すれば可能だと思います。

 今後は、国際感覚をもった経営に変革していくことが必要で、女性の能力を積極的に活用し、可能性を最大限に引き出していくことこそが日本の企業発展と社会全体を変えていく大きな力であると感じました。

「中小企業家しんぶん」 2011年 11月 5日号より