「中小企業経営と介護問題」調査報告書を発行【広島同友会女性部会】

中小企業のがんばりが日本の未来を変える 増子勉 福島同友会専務理事 立正大学で特別講義

 広島同友会の女性部会(104名)は、4年にわたって「ワークライフバランス~男性も女性も働きやすい職場づくり」について勉強してきました。松山大学大学院の春日キスヨ教授の指導を得て、当初は「子育て」と「介護」の2つの切り口から考えました。しかし、子育てについてはさまざまな支援策が用意されている一方で、「介護」の問題の施策はほとんどないことや介護の問題に悩む経営者の声も寄せられました。

 そこで同部会で調査し、介護問題は中小企業経営を大きく左右していること、そして人材の確保のために育児支援以上に国の支援が必要なことが見えてきました。

 調査結果は以下のようなものでした。

・社員の抱える介護問題に何らかの対応を迫られる時期が近い将来くるだろうと答えたのは51%。
・介護休業制度をつくっている企業は19%。制度の有無にかかわらず、介護問題で仕事に支障をきたした社員への対応は、「残業や休日出勤の免除」「就業時間の短縮」「介護のためのフレックスタイム制度」など、さまざまな工夫をしている。
・経営者自身が介護問題を抱えたとき、その困難を補足してくれる人は いる=61%、いない=16%。いる人のうち最も多くを占めるのは経営者の家族、次いで社員であった。
・結局、経営者にとっての介護問題は、社員の福利厚生をどう整備していくかにとどまらず、自らの家族に介護問題を抱えたとき、それが経営をおびやかし、家族関係を破綻させ、自らの健康問題を生じさせかねないリスクを持つ事実も明らかになった。

 広島同友会の女性部会は、この報告書の発行を契機に、介護問題をたんなる福祉としてではなく、中小企業の経営問題として位置づけ、経営者のみならず、ひろく行政や学校、地域を構成するさまざまな人たちと困難解決に向けた制度の提案や基盤整備をすすめていきたいと願っています。

 この調査報告書についての問い合わせは、広島同友会事務局TEL082―241―6006まで。

「中小企業経営と介護問題」調査報告書(A4判、23ページ)

「中小企業家しんぶん」 2012年 2月 5日号より