【静岡同友会富士宮支部】TPPを学ぶ~ いかなる状況も生き抜く体制を!

静岡同友会理事 田邉 元裕((有)カボスメディアワークス 代表取締役)

 静岡同友会富士宮支部青懇部会は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)の勉強会を開催しました。同支部の田邉元裕氏((有)カボスメディアワークス代表取締役)に概要を寄稿していただきました。

 1月18日、静岡同友会富士宮支部青懇部会は、昨今の大きな問題であるTPPについて勉強会を開催し、会員や行政関係者など約50名が参加しました。

 TPPは一体何者なのか!? 推進している日本政府ですら理解や見解があいまいという混沌としている昨今。「TPPの功罪を見極めずして自己の利益だけで判断するのもまた恐ろしいこと」という会員の問題提起から、講師として、幅広い見識を持った中同協・松井清充事務局長を招(しょう)聘(へい)し、TPPの是か非かを問うのではなく、賛成派・反対派、両方の意見も参考にしながらあらゆる変化の可能性について学びました。

 そもそもTPPは4年間の秘密保持条項があるため、現時点では日本政府からは情報が少ない上、どんな内容や影響があるのか、中身が濃くて難解なものが多くあります。

 松井氏からは、21分野の項目別に、中小企業向けにどんな影響があると想定されるか、他国の情報や経済の実際のデータを紐(ひも)解(と)きつつわかりやすく説明いただけました。

 TPPの有無に関わらず「戦後も現在も、中小企業を取り巻く『厳しい』と言われる状況は変わらない」「いかなる情勢になっても、労使見解の精神での企業づくりが必要。情勢の困難さを口実に経営者としての責任を果たさず投げやりになることは間違いである」「人のせいには絶対しない。どんな環境にあっても経営を維持する責任が経営者にある」と強烈なメッセージもいただきました。

 松井氏は、労使見解の根底に貫く精神でもあり、生命の本質でもある「違いを認め合う」ことにも言及。私たち中小企業の今後の在り方として(1)歴史から学ぶ、(2)仕事と雇用を創れる企業が日本再生を担う、(3)どんな状況でも生き抜く体制をつくる、(4)加工の力を生かす・文化の力を生かす、(5)長期展望で見る(例:いずれ石油は枯渇する)、(6)地域を連帯で守る(地域通貨や地域ビジョンの検討、第4次産業・儲からない市場を共同で創る)といった多くの示唆・ヒントをいただきました。

 いかなる時代でも情勢でも、私たちは違いを認め合いながら連帯し、力強い会社、経営者を目指し、良い経営環境(地域社会)をつくっていこう。その勇気と元気の源として、私たち中小企業家同友会がある!と私たちの学びの必要性と重要性に確信を得た勉強会となりました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 2月 15日号より