衰退する伝統産業の中、新市場を切り拓く~(株)能作の経営実践に学ぶ 新春講演会に167名が参加【石川】

石川同友会では1月31日、新春講演会をANAクラウンプラザホテル金沢で開催し、会員やオブザーバーなど167名が参加しました。

講師には2011年に青年経営者全国交流会で記念講演をした(株)能作・代表取締役社長の能作克治氏(富山同友会会員)を招きました。能作氏は「素材とデザインで市場を拓く」と題して講演、高岡銅器という地域資源・伝統工芸の継続への取り組み、錫100%の曲がる食器で世界的認知を目指す挑戦の方法、そのプロセスから学んだこと、あきらめず続けることがポリシーの根底にあること、地域社会には労を惜しまず貢献していきたいとの思いを語りました。

講演会の後は賀詞交歓会を開催、辰年生まれの参加者13名には新春講演会実行委員会よりプレゼントが渡されました。今年の贈り物は実行委員会が一工夫し、(株)能作で製造された錫製の「ぐい呑」でした。この「ぐい呑」で飲むとお酒の味が円やかになって美味しいとの評判で、辰年の参加者は早速、楽しんでいました。

高岡銅器は400年の歴史のある伝統産業ですが1990年をピークに激減して、現在は業界全体で120億円を下回り、ピーク時の3分の1に落ち込んでいるそうです。伝統を守り過ぎて的確な市場へ資金や知恵を投入できなかったからだと能作氏は話します。

(株)能作では、多品種少量生産で高品質を目指し、展示会を重視して出展、顧客の裾野を拡げてきました。錫の柔らかさに着目して逆転の発想で曲がる性質を活かし、使う人が曲げて楽しみながら使用するものを開発、欧米からも注目されています。営業は置かずに展開、伝統は技術を守るのでありデザインや販路は攻めるものだと語りました。

「中小企業家しんぶん」 2012年 2月 15日号より