【経済データを読む】非正規雇用・人口問題と貿易

 2011年の日本の貿易収支が2兆4927億円の赤字になり、第2次石油ショックの1980年以来初めての赤字になりました。「1バレル110ドルの原油高が続けば、2012年も貿易収支は3.2兆円の赤字と野村証券が試算」と報道されましたが、非正規雇用問題と人口問題からもっと深刻になることが予想されます。

 2011年人口動態では「人口20万4000人減、新成人人口は122万人で減少を続ける」と、人口減少が2009年(7万人減)、2010年(12万2000人減)から加速しています。また2011年労働力調査では、「被災3県除く、非正規雇用の割合が0.8%上昇の35.2%で、48万人増の1733万人、正規雇用は25万人減で3185万人」となっています(表)。労働経済白書のデータで非正規従業員の有配偶率は、正規従業員の半分前後となっており、非正規従業員の増加が、非婚を通じて少子化につながっていることが確認されています。非正規雇用の増加は、人口減少につながることになります。

 一方で、世界の人口はいよいよ70億人を突破し、国連発表では「2050年には93億人」とあります。ただ、人口が一番伸びるのがアフリカとアジアであり、低所得層であるのが明白です。つまり高品質・高機能・高価格な日本製品を買えない層が日本でも世界でも増えていくということになります。また、クレディスイスによると「100万ドル以上の金融資産を持つ個人は世界全体で2970万人、世界の富の40%近くを持つ」と言われています。

 このようなデータから今後の日本の貿易を考えると、低価格品もしくは富裕層向けのものしか売れないということになります。

表 非正規の職員・従業員数および割合の推移

「中小企業家しんぶん」 2012年 3月 25日号より