【経済データを読む】高齢者の消費を考える

表 全世帯と65歳以上世帯の消費支出比較

 今年は団塊の世代が65歳前後を迎えます。全世帯と65歳以上の世帯の消費支出を比較することで、今後どういうものが売れていくのかのヒントになればと思います(表)。

 65歳以上世帯の平均消費支出総額は全世帯より4万円弱少ない1カ月21万3217円ですが、それでも現役世代の所得との差を考えれば、大変大きな支出です。

 全世帯とほぼ同じ数字になっているのは家賃を除く住の分野と食の分野などで、生活に必要なものには変わらず支出しています。

 全世帯平均を上回っているものは、保険医療は当然としても、それ以外に次のようなものがあります。食料のうち魚介類、野菜・海藻、果物。住居のうち修繕・維持、家具のうち家庭用耐久財、室内装飾・装飾品、寝具類、家事サービス。被服のうち生地・糸。教養娯楽のうち書籍・印刷物。その他では交際費。以上の分野が高齢者を対象として今後伸びる分野と言えます。

 一方、教育費は別にして、大幅に低い外食、家賃地代、洋服、履物、自動車、通信の分野が今後減少する分野であることも分かります。

 現在のスマートフォンの急速な普及による消費の変化に対応していく必要もありますが、高齢者が若者とは違う分野に支出していることに目を向けることも重要です。これらの分野にも中小企業は注目しておく必要があることが分かる数字です。

「中小企業家しんぶん」 2012年 4月 25日号より