地域の未来をつくる礎に~岩手同友会気仙事務所6月1日より開設【岩手】

地域再興の拠点に

 岩手同友会気仙事務所が、陸前高田ドライビングスクール構内に6月1日開設しました。岩手同友会にとって初めての支部事務所となります。

 大震災から1年3カ月が過ぎ、85社の会員が所属する気仙支部では、それぞれの企業によって、立ち上がりに大きな差が出てきています。

 1社でも多くの企業が雇用を守り、地域再興の担い手になることが地域の未来をつくる礎(いしずえ)となっていきます。1人でも多くの経営者が集い、どんなことでも相談できるよりどころ、そして誰もが気軽に集える場所が必要でした。

この機会しかないと思った

 開所式には会員24名が参加。復興需要でフル回転の現場から駆けつけた方々も多く、作業着やTシャツなどさまざまな服装に一段とにぎやかな雰囲気となりました。

 田村滿気仙支部長は、「みなさんが待ちに待った気仙事務所の開設です。こんなに笑顔一杯のみなさんの表情は、本当に久しぶりです。事務局から提案があったとき、これ以上うれしいことはなかった。ここから100名支部をやり切ろうじゃないですか」とあいさつ。その後被災をまぬがれた気仙の味「マスカットサイダー」で乾杯しました。

 その後、全員で気仙事務所への期待を語り合いました。

実は相談したいことが一杯あった

○震災後、自分のことに精一杯で参加するきっかけを失っていた。みんなに合わせる顔がないと思っていた。この機会しかないと、思い切って出て来て本当によかった。顔を合わせるだけで気力が出てくる。
○気仙支部はいつもわいわい、こうだったな、と思い出す。何気ないことなんだけれど今、どこにも本音を言う場所がない。経営の話を何でも話せるのはここしかない。
○事務局がいてくれるのは本当に心強い。実は話したいこと、相談したいことが一杯あった。

 それぞれの言葉に期待の大きさが伝わってきます。

開所式が終了しても話が尽きず誰も帰ろうとしません。ここが長く続く復興期の生きる砦なのです。

 気仙事務所は当面、週1~2回事務局5人が一斉に入り、会員訪問と会員増強を行っていきます。丁寧な全会員訪問で、それぞれの要望や状況に応じ、細やかな対応を行います。

 また、経営体験報告を根幹に据えた月例会とともに、現状を踏まえ、差し迫った経営課題解決のための勉強会の実施や情報発信も平行して取り組みます。

「中小企業家しんぶん」 2012年 6月 15日号より